米ハーバード大学の技術開発局(OTD)と米SiOnyxは米国時間2008年10月13日,ハーバード大学が「ブラック・シリコン(Si)」と呼ばれる特殊なSi材料の特許ライセンスをSiOnyxに供与すると発表した。SiOnyxはハーバード大学からブラックSi関連特許の独占使用権を得て,商用化を目指す。

 ハーバード大学が発見したブラックSiは,光に対する感度が通常のSiよりも非常に高く,太陽電池や光センサーなどへの応用が可能という。Si表面に強力なレーザー光線を照射してSiをブラックSi化すると,可視光の吸収率が2倍弱に高まり,通常のSiだと反応しない赤外線も検出できるようになる。ブラックSiの製造プロセスは現在の半導体製造プロセスに組み込むことが可能で,新しい素材を使う必要もない。

 米メディア(New York Times)によると,地球全体に降り注ぐ太陽光と同等のエネルギーを持つレーザー・パルスを6フッ化硫黄(SF6)ガス中でSiウエーハに照射すると,表面に微細な針状の密集構造が形成され,肉眼では黒く見えるという。

 SiOnyxは,ハーバード大学の研究成果を商用化する目的で設立した企業。ベンチャー・キャピタルなどから1100万ドルの資金を集めている。

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