写真1●楽天のお気に入り商品紹介ツール「楽天枚セレクション」の画面例
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写真2●TDKラムダの「次世代経営ダッシュボード」
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写真3●フォレスト・キー ゼネラルマネージャー。.NET基盤技術や開発ツール事業のアジア地区を統括する
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 マイクロソフトは2008年10月10日、RIA(リッチ・インターネット・アプリケーション)開発・実行環境の新版「Silverlight 2」を発表した。Webブラウザのプラグインソフトで、来週にもダウンロード公開する。新版ではデジタルコンテンツ保護や開発生産性の向上を図った。同分野で先行する米アドビシステムズのFlashを追撃する。

 Silverlight 2の強化点は大きく二つある。一つはデジタルコンテンツの著作権管理(DRM)機能を新たに搭載したことだ。コンテンツの複製防止や配信ビットレートの管理などが可能になる。同社の動画・音声再生ソフト「Windows Media Player(WMP)」のDRM技術と互換性があり、WMPのDRM機能を付加したコンテンツをそのまま再生できる。

 もう一つの強化点は、RIA開発の生産性を大幅に高めたことだ。これまで利用できたJavaScriptに加えて、Visual BasicやC#、IronRubyやIronPythonといった、.NET Framework向け言語を利用できるようになる。.NET言語の実行環境を新たに内蔵したことで実現した。このほか40種あまりのGUI部品(コントロール)を標準搭載。「今後もさらにコントロールの数を充実させていく」(春日井良隆マネージャー)。

 発表に併せて楽天やヤフー、TDKラムダ(旧 デンセイ・ラムダ)など国内企業7社が、Silverlight 2を採用したシステムやサービスの開発を表明した。楽天はブログ上で利用者がお気に入りの商品を紹介するための機能を開発(写真1)。商品画像をマウス操作で選択・管理したりブログに張り付けたりするなど、簡単な操作で商品紹介ページを作成できる。

 TDKラムダは売上高や在庫といった経営指標を一覧表示するダッシュボードシステムを構築した(写真2)。ほとんどの操作をマウスで実行できるようにしたり低下した経営指標を自動表示するなど、「画面を凝視することなく、テレビを見ているように情報を分析できるようにした」(管理本部の片寄直樹グループマネージャ)。

 「日本には『おもてなし』という素晴らしい言葉がある。当社がSilverlightで目指している『ユーザーエクスペリエンス(UX)』も同様の概念だ」。米マイクロソフトで開発技術戦略のアジア部門を率いるフォレスト・キー ゼネラルマネージャー(写真3)は、こう言ってSilverlight 2の意義をアピールした。「UXという概念には見た目の美しさだけでなく機能性が必要。Silverlight 2はソフトウエアに豊かなUXをもたらす。おもてなしの心を持つ日本人の皆さんなら重要性を理解してもらえるはずだ」(同)。

 マイクロソフトは正式版公開と併せて発売済み開発ツールの対応を図る。コンテンツ作成ツール「Expression Blend 2」、動画作成ツール「同 Encoder 2」向けに、Silverlight 2開発機能を追加するソフトを11月中旬に配布。統合開発ツール「Visual Studio 2008」用にも、同様のソフトを11月に提供する。