米トムソン・ロイターの金融情報配信システムで2008年10月10日、情報が配信されないシステム障害が発生した。これによりSBI証券、楽天証券など一部のネット証券の取引サービスで気配値が正しく表示されないトラブルが生じた。

 トムソン・ロイター・ジャパンによると「シンガポールのデータセンターで午後12時5分からシステム障害が発生し、東京、名古屋、福岡、札幌の取引所のリアルタイムデータを顧客(証券会社)に送れなくなった」(広報)という。ロイターはシステムを予備系に切り替えて午後1時2分にシステムを復旧させた。障害の詳細な内容や原因は現在調査中という。

 SBI証券は午後12時30分ころから、Webサイト、携帯電話サイト、トレーディングソフト「HYPER SBI」で情報更新に不具合が発生した。復旧はWebサイトが午後1時ころ、HYPER SBIと携帯電話サイトが午後2時ころになった。一部の銘柄で気配値の情報(板)が正しく更新されなかった。これに伴い、逆指値注文の約定処理を停止し、午後8時まで受付を停止している。楽天証券も後場前から不具合が生じ、板が正常に表示できなくなった。復旧は午後1時4分でその間は逆指値注文の受付を停止した。

 一部のデリバティブ商品にも影響した。ゴールドマン・サックス証券が発行するカバードワラント「eワラント」が午後12時36分から午後1時10分まで停止した。「eワラントの価値は株式の時価で変わる。正しい株価情報を得られないと値段を付けられない」(広報)ためだ。そのため、eワラントを取り扱う証券会社でeワラントの注文受付を停止した。

 株価情報はロイター以外からも配信されているために、トラブルの影響をほとんど受けなかった証券会社も多い。野村證券の提供する野村ホームトレードはもともとロイターと情報配信の契約していない。そのため影響は皆無だった。大和証券のオンライントレードやカブドットコム証券も同様で、ロイター以外と情報配信の契約をしていたため、今回のロイターの障害による不具合は生じなかった。

 ジョインベスト証券はQUICK、時事通信とも契約しており、「障害時はロイター以外の情報配信会社の情報を見るよう顧客を誘導した」(野村ホールディングス広報)。そのため顧客への情報提供、注文処理に事実上の影響はなかった。