ジュピターテレコム(JCOM)は2008年10月から,共聴施設を使って地上波放送を視聴している世帯向けに,地上デジタル放送の再送信サービスの提供を開始する。共聴設備で地上アナログ放送を視聴する世帯は,このサービスを利用することで,地上デジタル放送をパススルー方式で視聴できるようになる。このサービスの利用には,デジタルテレビなどの地上デジタル放送受信機が必要になる。

 地上デジタル放送受信機を所有していない世帯向けに,地上デジタル放送とBSデジタル放送の2波を受信できるSTB(セットトップボックス)のレンタルサービスも開始する。地上デジタル放送受信機を所有する世帯向けのメニューである「共聴施設地デジコース」の月額料金は700円で,STBのレンタルがセットになった「地デジ・BSデジチューナーコース」が1200円(STBの台数が1台の場合)である。これ以外に初期費用として基本工事費(1万500円から)が必要になる。

 一部のIPTV事業者は既に地上デジタル放送の再送信サービスを提供しているが,ブロードバンド(高速大容量)サービスの加入が前提となるため,別途その使用料を負担する必要がある。JCOMの再送信サービスでは追加の月額料金なしに地上デジタル放送の番組を視聴できるのが特徴と,これまでも説明していた。

 このサービスは,JCOMが推進している「デジタル総合対策プロジェクト」の一環である。同社は2008年10月1日に,プロジェクトの司令塔としての役割を担う「デジタル推進室」を立ち上げた。デジタル推進室は,(1)共聴施設対策プロジェクト,(2)デジタル100プロジェクト,(3)テレビはJ:COMプロジェクト――の三つの施策を進める。(2)はJCOMの多チャンネル放送のデジタル化率を100%に高めることを,(3)は地上アナログ放送などの視聴者にJCOMのデジタル放送サービスをアピールして加入者増加に結び付けることを目的とする。今回の会見では,これらのプロジェクトの一環として,JCOMのデジタル放送サービスの加入者向けに2台目以降のSTBを1台につき月額420円で提供する「追加地デジ・BSコース」を2008年10月中旬から提供することも発表した。