シスコは2008年10月9日,パートナー各社と共同で同社の提唱する「ユニファイドファブリック」による仮想化環境を構築し,相互運用性の検証を実施したと発表した。ユニファイドファブリックは,IP通信やストレージ,サーバー・クラスタリングをイーサネットによって統合する。これは,ストレージ用インタフェースのファイバ・チャネルをイーサネットに統合した標準規格FCoE(fibre channel over Ethernet)や,FCoEにシスコ独自の技術を追加した「Data Center Ethernet」(DCE)で実現する。
同社はパートナー各社の協力で,東京本社内のデモ・スペース「カスタマー・プルーフ・オブ・コンセプト」(CPOC)にデモ環境を整備し,顧客にFCoEやDCEを使った仮想化技術を体験できるようにした。また,その環境を利用して,同社の製品とパートナー各社の製品との相互運用性を検証し,実際に稼働することを確認したという。
デモ環境構築の協力パートナーは,EMCジャパン,伊藤忠テクノソリューションズ,インテル,エミュレックス,デル,ネットアップ,ネットワンシステムズ,NEC,日本ヒューレット・パッカード,富士通,ヴイエムウェア,Qロジックの12社(写真1)。
記者発表会では,初めにシスコのエザード・オーバービーク社長兼最高経営責任者があいさつした(写真2)。同氏は,同社のスイッチ製品であるNexus 5000やNexus 7000,VMware ESX環境で動作するソフトウエア製品Nexus 1000Vを使うことで,仮想化環境をイーサネットで統合できるとした。さらに,CPOC内のデモ環境によって,次世代のデータ・センターで実現するクラウド・コンピューティングやマネージド・サービスで何ができるかを示せるようになったと述べた。
VMwareのクラウド実現に一役
協力パートナー各社のあいさつのあと,ヴイエムウェアの三木泰雄代表取締役社長が同社のVMwareによる仮想化に対して,シスコのソリューションを使うメリットを説明した(写真3)。
同氏はまず,VMwareは1台のマシン上での仮想化から始まり,続いて複数のマシンを束ねたストレージ・システムへと発展したと説明。その先には,クラウド・コンピューティングへと進むと述べた。その実現のため,VMwareはクラウドを実現するための仮想データ・センターOSとして機能を強化していくとした。
このクラウド実現にシスコの技術が役立つ。従来は,同社の仮想化ソフトウエアVMware ESXは,1台の物理サーバーの上で仮想スイッチ(vSwitch)を構築していた。これに対し,シスコのNexus 1000Vを使うことで,複数の物理サーバーにまたがって仮想スイッチを一元管理できるようになるという。また,仮想スイッチのインタフェースを,シスコのスイッチのインタフェースとして管理することが可能になる。
発表会のあと,CPOC内の実際のデモ環境が披露された(写真4)。ストレージと2本のラックを使って,FCoEおよびDCEの相互運用性を検証している。