米AMDとアブダビの政府系投資会社Advanced Technology Investment(ATIC)は米国時間2008年10月7日,AMDの半導体製造部門を切り離し,新たな半導体製造会社を設立すると発表した。AMD本体の財務状況を改善し,リソースを半導体の設計/開発に集中させる考え。新会社設立の手続きは2009年初めに完了すると見込む。

 ATICは,新会社の設立資金21億ドルを出資するとともに,工場の製造能力拡張に必要な資金として今後5年間で36億~60億ドルを出資する予定。新会社はAMDの債務約12億ドルを引き受ける。新会社に対する出資比率は,AMDが44.4%,ATICが55.6%となる。

 また,現在AMD株式を8.1%保有しているアラブ首長国連邦(UAE)の投資会社Mubadala Developmentが,AMDの新株5800万株と3000万株相当の新株引受権を3億1400万ドルで取得し,持ち株比率を19.3%に引き上げる(関連記事:AMD,UAEの投資会社から6億ドル超の出資を受ける)。

 AMDは,ドイツのドレスデンにある2つの既存工場などの製造設備と関連資産,特許の権利などを新会社に移す。新会社ではドレスデン工場を拡張するほか,これまでの計画通りニューヨーク州サラトガ郡に従業員数約1400人規模の新工場を建設する(関連記事:米AMDがニューヨーク州に300mm/32nm半導体工場を建設へ)。将来的には,採算の見通しが立てばアブダビなどにも新工場を作る可能性があるという。

 新会社の本社は,カリフォルニア州シリコンバレーに置く。AMDのシリコンバレー/ニューヨーク/ドレスデン/テキサス州オースチン事業所の従業員約3000人は,新会社に移籍する。新会社は,AMDとIBMが結んでいる半導体開発に関する提携に加わる。

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