写真●米Microsoftの最高環境戦略責任者ロブ・バーナード氏
写真●米Microsoftの最高環境戦略責任者ロブ・バーナード氏
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 マイクロソフトは2008年10月7日,環境への取り組みに関する説明会を開催した。この説明会で,米Microsoftの最高環境戦略責任者(Chief Environmental Strategist)であるロブ・バーナード氏は,「Microsoftの提供するソフトウエアや技術革新が環境保護に効果的だ」と力説した(写真)。

 「あまり知られていないが,マイクロソフトは積極的に環境問題の調査に参加している」。ロブ・バーナード氏は,マイクロソフトが森林復活の支援をするソフトウエアや,炭素などの環境資源を測定するソフトウエアの開発を手掛けており,全世界での環境問題に積極的に取り組んでいることを紹介した。

 ロブ・バーナード氏は,「技術の進歩で電力の消費量を削減できる」と,省電力機能を強化した新しいソフトウエアを使うことで,ITにおけるエネルギー効率を高めることができると強調した。具体例として,個人や企業が使用するパソコンやサーバーを,最新OSである「Windows Vista」や「Windows Sever 2008」にバージョン・アップすることで,環境保護の効果があることを挙げた。

 例えば,Windows VistaにはWindows XPにはない新しい36個の省電力機能が追加されている。Vistaの標準機能となっている「ハイブリッド・スリープ・モード」では,作業が約20分中断した場合にパソコンを自動的にスリープ状態にする。スリープ状態では消費電力を3Wまで低下する。この効果で,パソコンの稼働時間を週5日,1日10時間とした場合,1年間でCO2排出量0.5トン分に相当する電力が削減できるという。同様に,「Windows Server 2008」でも,仮想化技術を使うことで複数の処理を1台のサーバーにまとめて処理することができ,エネルギー効率が10%以上向上するという。

 また,ロブ・バーナード氏は自社での活動事例として,データ・センターの省電力化が紹介した。Microsoftでは,保有するデータ・センターの電力消費量を3年間で50%削減することに成功した。これは,ソフトウエアおよびハードウエアの省電力技術の向上や,社員の環境リテラシーの向上,仮想化技術による省スペース化により実現されたという。今後は,自社のデータ・センターでの成功経験を,約42万5000社のパートナー企業へも提供していく方針だ。