日本IBMは2008年10月7日、ソフトウエア開発の分析・設計工程を支援するモデリング・ツールの主軸を従来の「Rational Rose」から今年4月に買収したテレロジックの「Rhapsody」へと順次移行させる方針を明らかにした。既にRational Roseに関しては「ここ数年、機能強化を図っていない」(ソフトウェア事業ラショナル事業部の渡辺公成事業部長)状態にあり、今後3年をかけて「既存のRose資産を価値ある形でRhapsodyで継続利用できるようにする仕組みを整備していく」(同)。Rational Roseは、製品としては“フェードアウト”していく可能性が高い。

 Rational Roseは、オブジェクト指向モデリング言語「UML(統一モデリング言語)」ツールとして草分け的な存在。日本では1993年からオージス総研が販売。開発元の米ラショナルソフトウェアが日本法人を設立し、直販志向を打ち出したところでラショナル日本法人が販売の中心となり、2003年に米IBMがラショナルを買収してからは日本IBMが販売している。

 最近ではIBMのラショナル関連事業がソフト開発組織のガバナンス支援を主軸としていることに加え、低価格のUMLツールが登場したため、Rational Roseの存在感は以前に比べ低くなっていた。UMLの普及に大きく貢献したRational Roseだが、その役割は終えつつあると言えるようだ。

 RhapsodyはUML2.1に基づくモデリング・ツールで、主に組み込みソフトウエアの分析・設計に使われている。テレロジックが買収した米I-Logixが開発した。IBMは今後、Rational Roseの後継製品としてエンタープライズ分野での利用を念頭に置いた強化を図っていくとみられる。