図●USENの「OnGen」に実装された支払いボタン
図●USENの「OnGen」に実装された支払いボタン
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 楽天は2008年10月6日,楽天のIDを使った決済機能を他社サイトで利用可能にするサービス「楽天あんしん支払いサービス」を開始した。アダルトコンテンツ事業者など,楽天市場に出店できない事業者にもサービスを提供する。同サービスを使用するサイトでは,楽天会員向けのポイントサービス「楽天スーパーポイント」も使用可能になる。

 「楽天あんしん支払いサービス」は,「Googleチェックアウト」や「Yahoo!ウォレット」の競合サービス。同サービスを使用するWebサイトでユーザーがのような「楽天 お支払い」のボタンをクリックすると,楽天の決済ページにリダイレクトされ,ユーザーは楽天IDを使って決済が可能になる。ユーザーは,カード情報や住所などをWebサイトに新たに登録する必要がない。

 楽天ならではの特徴は,楽天のポイントサービス「楽天スーパーポイント」が利用できること。楽天外のサイトでの購買にもポイントが付与されるようになるほか,ポイントを使っての支払いも可能になる。サービス事業者にとっては決済機能を独自に管理する必要が無くなることだけでなく,楽天スーパーポイントを販促手段として利用できることなどがメリットとなる。

 楽天の常務執行役員である和田圭氏は,サービスの目的について「楽天の『経済圏』を拡大すること」と語る。同社の電子モール「楽天市場」は現在,アダルトコンテンツなどを扱う事業者の登録を認めていない。それに対して「楽天あんしん支払いサービス」は楽天市場に比べて審査基準も緩くなっており,アダルトコンテンツ事業者なども利用できる。

 もっとも楽天スーパーポイントなどが利用できる分,サービス事業者が支払う手数料はクレジットカードなど一般の決済サービスと比べて高めとなる。楽天では手数料について「決済金額に応じた従量課金」としか明らかにしていないが,手数料の中には,楽天KCに支払うクレジットカード手数料に加えて楽天が「マーケティング費用」と呼ぶシステム利用料も含まれる。

 楽天の和田常務は「事業者の規模や業種によって料金は変わるが,料金に占める比重ではクレジットカード手数料よりもマーケティング費用の方が高くなる」と説明している。零細事業者の場合,クレジットカード手数料は決済金額の5%以上になるのが一般的。そのため,「楽天あんしん支払いサービス」の手数料はマーケティング費用も合わせると10%を越える水準になる。

 楽天あんしん支払いサービスは現在のところ,一つの商品のみを購入/決済する「都度決済」にしか対応していない。これは同サービスが他社の事業者が運用する「買い物かご」の機能に対応していないため。現在サービスの改良に取り組んでおり,09年3月以降は様々な種類の決済に対応するとしている。

 10月6日時点で楽天あんしん支払いサービスが利用できるのはUSENが運営する楽曲販売サービス「OnGen」,ソフトウエア・ダウンロード販売の「ツーハンネット」(運営はイーディーコントライブ)と「ラネクシーオンラインショップ」(運営はラネクシー),アダルトコンテンツ販売の「ソフト・オン・デマンド」(運営はソフト・オン・デマンド)。