日本IBMは2008年10月6日、地方銀行大手の千葉銀行から、勘定系システムと周辺システムをつなぐ「ホスト中継システム」の構築を受注したと発表した。09年6月に完成の予定。まずはコンビニATMおよび振込管理システムを勘定系に接続するのに使う。

 インターネットバンキングやコールセンターといった周辺システムと勘定系システムの接続を制御するJ2EEベースの「IBM マルチチャネル・トランスフォーメーション/チャネル統合サーバー基盤(以下、MCT/CIS)」を使って構築する。勘定系システムとの接続機能を集約することにより、周辺システムを変更・統合する際の勘定系に与える影響を抑える。新サービスを複数のチャネルに同時に展開しやすくする狙いもある。

 千葉銀は、第四銀行(新潟県)、中国銀行、伊予銀行(愛媛県)、北國銀行(石川県)とシステム共同化陣営「TSUBASA(翼)プロジェクト」を構成している。5行のうち第四銀と中国銀がすでにMCT/CISを導入済みだ。千葉銀は今回、第四銀のMCT/CIS向けソフトの一部を流用することで開発期間を短縮させる。「MCT/CISにはサービス指向アーキテクチャ(SOA)に基づき複数のシステムに接続できる機能が備わっている。MCT/CISで構築した中継システムを複数の銀行が共用すれば、各行が異なる機能を利用しながらもコストを削減できる」(日本IBM広報)。

 日本IBMは10月2日にも、千葉銀、第四銀、北國銀からコールセンターシステムの構築を受注したと発表するなど、TSUBASA陣営とのつながりの強さをアピールしている。というのも、TSUBASA陣営の5行はいずれも勘定系に日本IBM製メインフレームを利用するIBMユーザーながら、勘定系の共同化計画は未定。「IBMへの発注を決めたわけではない」(TSUBASA関係者)。日本IBMにとっては、勘定系の受注をめぐる厳しい戦いが続く。