2008年9月30日から10月4日まで開催中の「CEATEC JAPAN 2008」のKDDIブースでは,「実空間透視ケータイ」のデモが披露されている。この技術はKDDI研究所と東京大学大学院情報理工学研究科浅見研究室が共同で開発したもの。携帯電話に搭載されたセンサーの情報を使って,3次元に広がる現実世界を携帯電話の画面から展望するような,直感的なインタフェースを提供する(写真1)。
加速度3軸,地磁気3軸の計6軸のセンサーから携帯電話の向きや動きを検出し,GPSから位置情報を取得する。これらのデータを基に,BREWの地図アプリケーション上にユーザーの目の前に広がる建物や店舗,友人のプレゼンスなどを表示する(写真2)。店舗のアイコンを選択するとレストラン情報を表示したり,友人のアイコンを選択するとその友人の状況を表示する。ただし,「現実世界の映像をそのまま表示して,そこに多数のデータをひも付けて表示するのは,負荷やGPSの精度から現在では難しい」(同社説明員)。そのため,今回のデモの地図アプリケーションでは,かなり簡略化した地図データを使っている。
画面は6軸のセンサーの情報に連動して変化する。このため,携帯電話を左右に振れば画面が回転したり,前後に傾ければズームやスクロールするなど直感的な操作が可能だ(写真3)。
デモでは,ブースの半径2km以内の情報を表示していた。「今回のデモでは,必要な地図データなどは携帯電話の端末内に保存している。ただし,実際にサービスを提供する場合は,ユーザーの周囲の一定範囲のデータをネットワーク経由で随時取得することになるだろう」(同社説明員)。
6軸のセンサーとGPSに加え,マイクからの情報(周囲の環境音)も使って,ユーザーの移動状態を推定する技術も展示されていた。「走行」,「歩行」,「自転車」,「停止」,「自動車」,「バス」,「電車」という7つの状況を区別できるという。移動状態と経過時間などを基に,消費カロリーを計算して表示することも可能だ。
その他,加速度センサーを搭載しない携帯電話を利用した直感的なユーザー・インタフェースのデモも披露されていた(写真4)。この技術は,携帯電話のカメラをずっと稼働させておき,取得した画像の変化で携帯電話の傾きを検知するというもの。「加速度センサーを備えていない携帯電話でも,BREWアプリケーションをインストールすれば利用できる」(同社説明員)。