米Red Hat社のスコット・クレンショウ副社長
米Red Hat社のスコット・クレンショウ副社長
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 米Red Hat社のLinuxディストリビューション関連の責任者である,スコット・クレンショウ副社長(写真)は都内で記者会見し,「クラウド・コンピューティングがバズワードになっているが,オープンソース・ソフトでなければ実現しない。オープンソースでこそ可能な標準化が重要なものだからだ」と強調した。同社は,クラウド・コンピューティング向けの製品化に力を入れてきており,その第一弾として「Red Hat Eneterprise MRG(マージ)」を今年6月から限定したユーザーに提供している。「2,3カ月のうちには一般提供開始する」(クレンショウ副社長)という。

 MRGは,主に3つのオープンソース・ソフトで構成されるミドルウエア群だ。(1)メッセージングで通信するソフト「MRG Messaging」(2)グリッド・コンピューティングを構成するためのソフト「MRG Grid」(3)リアルタイム処理を実行するためのソフト「MRG Realtime」,である。「個々の機能は既存製品でも提供されていたが,これらを統合したのが重要」とクレンショウ副社長は主張する。

 クラウドに標準が重要な例としてクレンショウ副社長は,「ある石油会社が油田評価にMRGを使ったクラウド環境で処理を実行していたがリソースが不足した。MRGの機能を使って,自動でAmazon EC2のリソースを使うようにし,解決した。これは標準があるからできることで,新しいコンピューティング・パラダイムだ」と説明する。

 同社は今年9月に仮想化ソフトのベンダーである米Qumranet社を1億700万ドルで買収したが,これもクラウドに力を入れる一環。「仮想化ソフトはクラウドに必要なプラットフォームの技術だ。今は仮想化ソフトはワークロードの統合として使われているが,今後は性能の最適化という用途で必要になる」(クレンショウ副社長)という。

 「これまでRed Hatは単なるLinuxディストリビューションの企業としてとらえられていたが,これからはクラウド・コンピューティングのリーダーになっていく」とクレンショウ副社長は意気込みを語った。