米グーグルは2008年10月1日(米国時間)、同社が運用するデータセンターの電力効率性を一部公開した。サーバー冷却などに費やす消費電力が極限まで抑えられていることが明らかになった。効率性を表す値で、データセンター全体の消費電力をサーバーなどのIT機器の消費電力で割ったPUE(Power Usage Effectiveness)は、6カ所のデータセンターの年平均で「1.21」。現在の一般的なデータセンターのPUEは2.3~2.5程度とされる。

 グーグルは一連の資料をWebサイトで発表した。データセンターの電力効率性を示すPUEは、データセンターに供給される電力が全てサーバーなどのIT機器で消費されている場合に「1」となる。

 データセンターの運用にはIT機器以外にも空調装置や電力設備などが必要なので、一般的なデータセンターのPUEは2.3~2.5程度(データセンターで消費される電力の半分以上が、IT機器以外で消費される状態)と言われている。

 今回グーグルが発表した「1.21」というPUE値は、競合と比較しても極めて低い。2008年1月に稼働した日本IBMの最新鋭データセンター「幕張データセンター」(千葉市)のPUEは「1.8」。日立製作所が2009年に横浜市に竣工するデータセンターは、「1.6」を目標にしている(関連記事:貴社サーバー室の「PUE」は、IBMの上か下か)。米ヒューレット・パッカードが2008年7月に発表したコンテナ型サーバー「HP Performance Optimized Data Center(POD)」のPUEは「1.2~1.25」である(関連記事:データセンターの一部は日本でもコンテナ型になる --- 米HP )。

 米国の環境保護庁(EPA)が公開している「2011年に達成すべきPUEの目標値」は、標準の「Improved Operations」で「1.7」、実現したい最良値「Best Practice」で「1.3」、画期的な新技術が開発された場合の指標「State of the art」が「1.2」である。

 グーグルが今回PUEを公開した6カ所のデータセンターの中には、四半期平均で「1.13」を記録したケースもある。2011年に達成すべき「State of the art」を2008年段階で達成しているわけだ。これについてグーグルは「幸せに思う」とコメントしている。なおグーグルは「電力設備の効率化や水冷システムの採用によって低いPUEを実現した」とするだけで、詳細は明らかにしていない。