情報処理推進機構（IPA）のIT人材育成本部と国立情報学研究所（NII）は2008年10月1日、「IT人材の育成に向けて産学の連携を強化する」という主旨で協定を締結したと発表した。

　IPAは経済産業省傘下の独立行政法人。IPAのIT人材育成本部は経済産業省が策定したスキル体系「ITスキル標準（ITSS）」の普及・促進活動や、情報処理技術者試験の企画・実施をしている。NIIは文部科学省の関連組織で、大学共同利用機関法人に当たる。教育・研究機関として活動しているほか、全国の大学の共同利用機関という位置づけで、各大学の教育を支援しているという。

　IPAとNIIは今後、IT人材の教育に携わる教員の育成、教材の開発、カリキュラムの整備、企業における学生のインターンシッププログラムの支援などを共同で進める。IPAの松田晃一IT人材育成本部長は、「この協定をきっかけに、人づくりに必要な産学連携の案件を両組織でとりまとめ、実行していく」と語る。

　特に重要視するのが「個別ではなく総合的な取り組み」（NIIの坂内正夫所長）。IPAとNIIが産業界と大学群それぞれの窓口となって、人材やノウハウの交流を進めていくという。これまでは各大学が個別に各企業と話をつけて取り組むプロジェクトが中心。「個別のプロジェクトでは一定の成果が見られたものの、中心的な流れにはなっていない。米国やインド、中国と比べると、相変わらず産学連携の取り組みが遅れている」との指摘があった。

　ただし具体的なアクションについては未定。「今後、具体的に詰めていく」（IPAの松田本部長）とのこと。まずはNIIが社会人向けに提供している産学連携型の教育プロジェクト「トップエスイー」を大学生向けにアレンジしていくという（参考：トップエスイーのWebサイト）。