写真●レノボ・ジャパンの天野総太郎社長
写真●レノボ・ジャパンの天野総太郎社長
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 レノボ・ジャパンの天野総太郎社長が社長職を退任することが2008年9月30日の夜、分かった(天野社長のインタビュー記事)。10月1日の昼に正式発表する。

 同社広報は記者の問い合わせに対して「(レノボとしては)退任という言葉は使っていない。ただ社長職を離れることは確か。これから(天野社長は)後任への引き継ぎ業務に入る。詳しいことは1日昼まで一切公開できない」とコメントした。天野社長の後任は、レノボ・グループのアジア太平洋地域を統轄する組織から来るもようである。

 レノボ・ジャパン以前はライバル会社であるデルで、セールス部門やカスタマーサポート部門の要職を務めてきた。その実績を買われ、2年前の2006年9月1日、レノボ・ジャパンの社長に38歳の若さで就任。2005年にIBMから独立して間もないレノボ・ジャパンをけん引してきた。

 レノボ・ジャパンの突然の社長交代の背景には深刻な業績不振があるとみられる。本誌の調べによると、同社の四半期当たりの売り上げは今年に入って130億円前後で低迷。同200億円強を売り上げた前年同期より3割以上落ち込んでいた。

 落ち込みが特に目立ったのは同社が「リレーション」と呼ぶ直接販売部門。天野社長による営業体制見直しの結果、大手顧客とのリレーションが希薄化。売り上げがほぼ半減したとされる。「トランザクション」と呼ぶ間接販売部門も同じく3~4割落ち込んだという。

 今年夏、同社はデル流のBTOモデルを全世界で導入した。これに伴い受注システムを刷新したが、この混乱が業績低迷を加速させたとの証言もある。「新製品投入タイミングとそごが生じ、ほぼ1カ月にわたって満足に注文を受けられない状況が続いた」と関係者は語る。

 今後、レノボ本社は日本法人に対する統制をより強化する見通し。韓国レノボのように、法人格をはく奪し、営業所として扱う可能性もある。