HP t5545 Thin Client(外観はHP t5630 Thin Clientと共通)
HP t5545 Thin Client(外観はHP t5630 Thin Clientと共通)
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 日本ヒューレット・パッカードは,ハードウエアを刷新して低価格にしたシンクライアント端末の新製品2機種「HP t5630」および「HP t5545」を,2008年10月2日に販売開始する。出荷は,HP t5530が10月上旬,HP t5545が11月上旬を予定する。価格は,新たに最安価機種となるHP t5545の場合で,税込み2万9400円。

 HP t5630およびHP t5545は,画面情報端末型のシンクライアント端末。OSは,多機能型のHP t5630がWindows XP Embeded,低価格型のHP t5545がLinuxベースの独自OSである。いずれの機種も,OS格納用フラッシュ・メモリー容量とメインメモリー容量を除き,基本ハードウエア・スペックは共通である(XP搭載機はフラッシュ/メインメモリーいずれも1Gバイト,Linux搭載機はいずれも512Kバイト)。

 画面情報端末プロトコルは,両機種とも米MicrosoftのRDP(Remote Desktop Protocol)と米Citrix SystemsのICA(Independent Computing Architecture)のいずれも利用可能。ブレードPCや仮想デスクトップ機の遠隔操作やXenApp(MetaFrame)上のアプリケーション操作などが可能である。

XP搭載機はEWF,Linux搭載機はFirefoxを標準搭載

 XP Embeded搭載のHP t5630では,RDP/ICAに加えて,HP Remote Graphics Software(RGS)と呼ぶ,独自の画面情報端末プロトコルのクライアント機能を使える。RGSのサーバー・ソフトを導入したWindows機を遠隔操作できる。RGSは,必要とするネットワーク帯域が大きい一方で動画再生に向くという。また,XP Embeded上で,EWF(Enhanced Write Filter)を用いた起動フラッシュ・ディスクへの書き込み保護機能を利用できる。

 一方,LinuxベースOSを搭載するHP t5545では,RDP/ICAによる画面情報端末の機能に加え,ローカルOS上で動作するWebブラウザとしてFirefoxを標準搭載する。このため,画面情報による遠隔操作だけでなく,独立して動作するWebブラウザ端末としての利用も可能になる。

 2機種の主要スペックは以下の通り。CPUは台湾VIA TechnologiesのEden(1GHz),チップセットはノース/サウスブリッジを1チップ化したVIA VX800。グラフィックス機能は,VX800内蔵のVIA Chrome9 HC3で,ビデオ・メモリーはメインメモリー共有型(UMA)で64Mバイト。最大解像度は32ビットで2048×1536ドット。ディスプレイ出力端子は,DVI-D×1,アナログRGB(D-Sub15ピン)×1。ネットワーク・ポートは1000/100/10BASE-T×1,USB×6,PS/2×2,シリアル×1,パラレル×1,オーディオIN/OUT。電源はACアダプタで供給する。

 なお,今回の2機種の追加により,日本HPのシンクライアントの現行ラインアップは,ノート型が2機種,XP Embeded搭載デスクトップ機が2機種,Linux搭載機が1機種となる。デスクトップ機の最上位機種は,CPUにAMD Sempron 2100+を搭載した既存機種「HP t5730」(価格は税込みで6万900円)となる。

■変更履歴
4段落目,XP Embeded搭載のHP t5630の説明で,「独自の画面情報端末プロトコルのクライアント機能を備える」としていましたが,「独自の画面情報端末プロトコルのクライアント機能を使える」に訂正します。クライアント機能モジュールは別途インストールが必要であり,出荷時点では含まれていません。本文は修正済みです。[2008/10/01 15:30]