図1 ボックスの裏側
図1 ボックスの裏側
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図2 ボックスに付属するリモコン
図2 ボックスに付属するリモコン
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 KDDIと沖縄セルラー電話は2008年9月25日,パソコンを所有しないユーザーでも比較的簡単に音楽や映像コンテンツを利用できるようにする機器「au BOX」のレンタルを,11月月1日に開始すると発表した(発表資料1)。この機器は「携帯電話専用アミューズメントボックス」という位置付けであり,パソコンの代わりにこの機器をテレビや携帯電話機に接続して利用できる。レンタル料は月額315円である。

 使い方は,ブロードバンド(高速大容量)通信環境に応じて三つのパターンを想定する。インターネットの接続環境がないケースの場合は,機器とテレビを接続するだけの形態になる。これにより,手持ちのCDやau携帯電話機でダウンロードした「着うたフル」を,機器に内蔵したスピーカーで聞くことができるようになる。機器にはダイマジックが開発した「EUPHONY技術」を採用しており,サラウンド再生が可能となる。またCDの楽曲をクリッピングして簡単にau携帯電話機や携帯音楽プレイヤー「ウォークマン」に転送できる。録画映像を携帯電話機に転送することも可能である。DVDプレーヤーとしても利用できる。

 今回の機器にはLAN端子が装備されており,KDDIが提供する回線に限らず一般のブロードバンド回線に接続して利用すれば,例えば音楽配信サービス「mora for LISMO」(提供はレーベルゲート)で提供されている約130万曲のラインアップから好みの楽曲を購入できる。また,米ハリウッドの大作映画や話題の海外ドラマを含む約5000本の映像コンテンツが提供されている「LISMO Video Store」の動画コンテンツも購入できる。購入した楽曲や動画はテレビで楽しめるのに加えて,対応するau携帯電話機に簡単に転送することも可能である。こうしたコンテンツの購入は「まとめてau支払い」を利用でき,クレジットカードを使わずに決済できる。入力もリモコンを使って,テレビ画面で実行できる。

 今回の機器には,インターネットのブラウザー機能も搭載している。専用のポータルサイトを経由して,テレビでインターネットを楽しむこともできる。KDDIの「ひかりone TVサービス」の加入者は,多チャンネル放送など各種の映像コンテンツも利用可能となる。

 この機器のユーザーには,音楽・映像・エンターテイメント情報を収録した無料のDVDマガジン「U.」(ユー)を発刊する(発表資料2)。この中には,テレビで見る動画コンテンツに加えて,携帯電話機に転送する「着うたフル」やビデオクリップなどが収録されている。

<ボックスは米Motorola製>  ターゲットは,10代から30代のパソコンに慣れていない人を想定している。9月25日の発表会では,自分専用のパソコンを持たないユーザーが56.5%(高校生に限ると8割)であるのに対し,自分の部屋にテレビがあるという回答が8割(高校生に限っても8割)という独自調査の結果を紹介し,自分専用のパソコンを持たないユーザー層がターゲットとした。HDTV(ハイビジョン)対応などではなく,「あくまでも個人用のテレビへの接続がターゲット」という位置付けである。

 今回の機器は,米Motorolaが製造する。海外における同社のSTB(セットトップボックス)市場の実績などを評価したという。無線LANの今後の搭載については「検討していきたい」と回答した。

 ユーザーの獲得目標数などは,現時点で明らかにしていない。「まずは数10万件を目指す」という。月額315円というレンタル価格については,「戦略的に決めたもので,ビジネスモデルとしては,DVDマガジンでのコンテンツ配信の利用も含めて収支が合うような形態を想定している」という。

 なお今回の仕組みは,地上デジタルラジオの実用化試験放送においてエフエム東京(FM東京)などと共同で計画していたダウンロード配信を応用したものであることを明らかにした。つまり,暗号化してコンテンツを配布し,携帯電話網で鍵を提供するという手法である。