写真●Oracleが用意するAMIを検索した画面
写真●Oracleが用意するAMIを検索した画面
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 米Oracleは9月22日(米国時間),同社のデータベース製品「Oracle Database 11g」や関連ミドルウエア「Oracle Fusion Middleware」などを米Amazon Web Servicesの仮想マシンサービス「Amazon EC2」上で動作させることを,正式にサポートすると発表した。同社では合わせて,DBの内容をAmazonのストレージ・サービス「Amazon S3」にバックアップするモジュール「Oracle Secure Backup Cloud Module」も発表している。

 リレーショナル・データベース製品のAmazon EC2対応に関しては,米Sun Microsystemsも2008年5月に「MySQL」のEC2上での動作をサポートし,有償のサポート・サービスなども提供すると発表している。ただしOracle Databaseの場合,オープンソースのMySQLと異なり有償製品であることから,動作だけでなくライセンスに関しても,Amazon EC2に対応する必要があった。

 今回Oracleは,Oracle Database 11gとOracle Fusion Middlewareのほか「Oracle Enterprise Manager」に関して,これらの製品のライセンスを購入したユーザーであれば,EC2上での運用を認めると発表した。Amazon EC2の仮想マシンに搭載された「バーチャル・コア」4個が,Oracle Databaseのプロセッサ・ライセンスを「1ソケット」分消費するという計算となる。

 またOracleは,Amazon EC2が提供するXenの仮想マシン上にOracle Databaseを簡単に展開できるよう,OS(Oracle Enterprise Linux)やOracle Databaseなどをインストールしたディスク・イメージ(Amazon Machine Image,AMI)を,Oracle自身が用意すると発表した。

 Amazon EC2のユーザーは,Amazonが用意するEC2用のディスク・イメージのカタログから,Oracleが用意したOracle DBのAMIを選択するだけで,Oracle Databaseを展開できる(写真)。Amazon Web ServicesのSenior Web Services EvangelistであるJeff Barr氏は同社の公式ブログで「ハードウエアを購入する予算を準備したり,ハードウエアをセットアップして,OSや様々なレイヤーの複雑なパッケージをインストールしたりする代わりに,AMIを単純にEC2上に展開するだけというわずか数分でOracle Databaseを用意できるようになった」と強調する。

 Oracleはまた,同社のアプリケーション開発ツールである「Oracle Application Express」「Oracle JDeveloper」「Oracle Enterprise Pack for Eclipse」「Oracle Workshop for WebLogic」に関しても,EC2のサポートを開始すると発表した。Oracle Databaseを使用するアプリケーションをEC2上で運用することも可能になったのである。

 Oracleの「クラウド対応」はこれだけではない。同社は同時に,Oracle Databaseの内容をAmazon S3にバックアップする「Oracle Secure Backup Cloud Module」も発表している。このツールを使うと,Oracle Databaseのデータを暗号化した上で,Amazon S3にバックアップできるようになる。Amazon S3でユーザーが使用する容量は自動的に拡張されるので,ユーザーはディスク容量を気にせずに,データベースのバックアップができるようになるとしている。