米ザイリンクスは,100ギガビット・イーサネット(100GbE)製品を極めて短時間で開発・製品化できるFPGA(field programmable gate array)「Virtex-5 TXT」を9月24日(米国時間9月23日)に発表した。「FPGA」は回路構成を自由に変更できる半導体チップで,ザイリンクスはその大手ベンダーである。

 100GbEは,急増するトラフィックをさばくのに現行の10Gビット・イーサネット(10GbE)では足りないという通信事業者のニーズに応えるものだ。企業内LANでの利用が前提だった従来のイーサネット規格と違い,通信事業者のバックボーンでの利用を念頭においている。現在は標準化が進められている段階で,最終的に作業が終了するのは2010年前半の予定である。

 標準化と同じタイミングで対応機器を製品化するには,それまでにチップの設計を終えていなければならない。しかし,ASIC(application specific integrated circuit)やASSP(application specific standard product)など回路構成を変更できないチップでは,最終的な仕様が固まるまでは設計を終了できない。一方,FPGAなら仕様の変更に応じて回路構成を変更できるため,最終的な仕様の確定に先行して開発を進められる。また,仕様変更以外にもチップの評価段階でバグが見つかっても,ハードウエアの再設計は必要なく,ソフトウエア的な修正で済むため,製品の開発期間を大幅に短縮できる。

 今回の製品の出荷時期は,エンジニアリング・サンプルが2008年12月,量産品が2009年2月である。この量産品を使えば,100GbE対応機器のメーカーは2009年中に製品を試作し,標準化が終了する2010年前半にはデモができるという。

 サンプルから量産までは,通常6~9カ月かかるが,同社では3カ月で量産化に持ち込めると判断した。その理由として,この製品で使う65nmの設計ルールを2年前から採用しており,十分な実績があるためとしている。なお,量産時の価格は,5000個一括購入時で1個当たり5万円に設定する予定である。

 Virtex-5 TXTの仕様上の特徴は,100GbEのような高速伝送が必要な用途に使えるように,大量のトランシーバ回路を集積したこと。最大で600Gビット/秒のバンド幅を得られるという。さらに,チップを利用するネットワーク機器メーカーの要望を受け,トランシーバをロジック・セルの両側に配置した。通信ではデータはチップの片方から入ってもう片方から出ていくというケースが多い。そうしたデータの流れに合わせ,トランシーバの配置を最適化したためだ