ラスベガスで開催中の仮想化イベント「VMworld 2008」の2日目、基調講演に立った米ヴイエムウェアのステファン・ハロッド CTOは、「Virtual Datacenter Operating System(VDC-OS)」の詳細を説明した。VDC-OSは、従来の仮想化ソリューション「VMware Infrastructure」を拡張するもの。同社が進めるクラウド・コンピューティングの土台となる(関連記事1)。
「vAppを使えば、マルチティアのアプリケーションをラッピングして使える」。ステファン CTOがこう語るように、VDC-OSの説明では「アプリケーション」に注目が集まることが少なくなかった。vAppは、同社が掲げる仮想アプライアンスの新しいコンセプトだ。アプリケーションから属性情報を切り離して管理することで、その可搬性向上が図れる(関連記事2)。
ステファン CTOのプレゼンの中で、もう一つアプリケーションを対象にした機能があった。「vCenter AppSpeed」である。AppSpeedは、アプリケーションのパフォーマンスを監視し、自動的にサーバーのリソースを調整することが可能だ。既にやってきたことのように思えるが、これまでVMwareの世界では仮想マシン単位でパフォーマンスを管理してきた。今回、これにアプリケーションのレベルを加えた。仮想マシンだけでなく、その上のアプリケーションも視野に入れてきた同社の動きとして、AppSpeedは象徴的な存在と言える。
「AppSpeedはイスラエルのB-Hiveを買収して手にいれた技術」。ステファン CTOがそう説明したうえで、SugerCRMを使ったAppSpeedのデモが披露された(写真2)。
デモの大まかな流れは以下のとおり。(1)アプリケーション(SugerCRM)を起動すると、AppSpeedが各種サーバー間の依存関係、テーブルやクエリーなどをマッピングする(写真3)。(2)アプリケーションのパフォーマンスをモニタリング。(3)パフォーマンスの劣化をきっかけに、(1)でマッピングしたどこに問題があるかを解析(写真4)。(4)DBサーバーが大量のクエリーをさばき切れていないと判断し、DBサーバーにCPUリソースを追加。アプリケーションのパフォーマンスが改善した。
(森山 徹=日経コンピュータ、ラスベガス)