写真●会見するKDDIの小野寺正・代表取締役社長兼会長
写真●会見するKDDIの小野寺正・代表取締役社長兼会長
[画像のクリックで拡大表示]

 「メーカーも販売店も大変しんどい」。KDDIの小野寺 正代表取締役社長兼会長は2008年9月17日,都内で記者会見し,携帯電話の販売不振について言及した。2008年夏商戦は販売台数が昨年の7割~8割と低調。冬商戦にかけてもこの傾向が続くという見通しを示した。

 小野寺社長は,ここ数年で携帯電話市場に与えた影響が大きかったものとして,ソフトバンクモバイルの料金プランと,総務省が事業者に導入を促した分離プランの二つを挙げた。総務省は2007年9月,販売の不公平感や不透明さをなくすため,販売価格と通信料金を明確に分離するプランを導入するべきという報告書を示した。

 これを受けて,NTTドコモやKDDIは値下げ原資に使われていた販売奨励金を削減した料金プランを導入。その結果,端末価格が上昇し,販売不振の一因となった。小野寺社長は,販売のテコ入れのために「結局はコミッション(手数料)を入れて値下げすることになるのでは」と推測。その一方で「せっかく分離プランを入れたのに,値下げをしたとなると大きな問題になるのでは」と懸念を示した。

 法人向け市場については,同社は大企業向けにソリューションと組み合わせた販売が好調だという。一方で,中小企業向けの販売は価格競争が激化。激しい乱売合戦になっていると指摘した。スマートフォンの企業導入についても触れたが,現状では日本語入力の機能が優れる既存の携帯電話のほうが使い勝手が良いと持論を述べた。

 メールサービスで事故が相次ぎ,8月28日に総務省から再発防止の指導を受けた件については,「ベンダーから購入した機器に複数のソフトウエアが入っており,そのインタフェースがトラブルを起こしている」と分析。サービス開始以前に十分な試験をするとともに,ベンダーと協力しながら再発の防止策を探ると語った。