写真 全日空が受けた指導文書(国交省のWebサイトから引用)
写真 全日空が受けた指導文書(国交省のWebサイトから引用)
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 国土交通省は9月16日、全日本空輸の山元峯生社長を呼び、14日未明に発生した全日本空輸の搭乗システムの障害について文書で再発防止を指示した。問題究明と再発防止策の徹底のほか、昨年5月27日に全日空が起こした大規模なシステム障害を重視した内容。昨年の問題を受けた対策が機能したかどうかの検証を要求している。

 全日空は昨秋から今春にかけて、約7億円の費用を投じて対策を打っている。関係者は発生の日付から「5・27」と呼び、取り組んできた。具体的には(1)問題を起こしたネットワークとシステムの修正・増強、(2)子会社に分散していたシステムとネットワークの運用監視体制の一本化、(3)運用統括組織「ITサービスセンター」の設置と管理職の24時間常駐、(4)バックアップシステムのチケットレスへの対応、(5)模擬ロビーなど訓練用設備の新設、といったものだ。

 なお、14日にダウンした搭乗システムは3日経過した17日現在でも暫定的な対応で稼働している。全日空は「できる限り早く原因究明をしたい」としている。搭乗端末の日付管理関連が問題を引き起こしている点までは判明しているため、昨年のように多くの時間がかかることはないとみられる。

 今回の障害では当日に全日空で53便が欠航し、276便が1時間以上の遅延となった。欠航便には7180人、遅延便には4万7100人が予約を入れていた。翌日も1便が遅延した。このほかスカイネットアジア航空、スターフライヤー、アイベックスエアラインズ、北海道国際航空(AIR DO)も全日空の搭乗システムを共用しており共同運航便などで同様の問題が起きた。全日空と各社あわせて約6万8000人の足に影響が出ている。