写真1●米ブイエムウェアのポール・マリッツ CEO
写真1●米ブイエムウェアのポール・マリッツ CEO
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写真2●三つの重点施策
写真2●三つの重点施策
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写真3●Virtual Datacenter Operating System
写真3●Virtual Datacenter Operating System
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写真4●vNetworkの一環で米シスコと協業
写真4●vNetworkの一環で米シスコと協業
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写真5●vCloud Initiativeで連携性を確保
写真5●vCloud Initiativeで連携性を確保
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 「まずデータセンターを仮想化してインターナル・クラウドを実現する。その上で、外部のクラウドを連携させることで最適化が図れる」。米ヴイエムウェアのポール・マリッツ 最高経営責任者(CEO)は9月16日(米国時間)、世界最大の仮想化イベント「VMworld 2008」で、クラウド・コンピューティングを推進する同社のビジョンを示した(写真1)。ポール・マリッツ CEOは「クラウドには柔軟性と連携性が欠かせない」とした上で、そのベースとなる「Virtual Datacenter Operating System(VDC-OS)」というコンセプトを披露した。

 ポール・マリッツ CEOは、同社の三つの重点施策を発表。そのうち二つに「クラウド」の文字が躍るなど、クラウドに注力する同社の姿勢がうかがえた(写真2)。(1)「Internal Cloud」は、VDC-OSでアプリケーションとインフラ・リソースを集めたうえで効率利用を図る。(2)は、(1)で実現したクラウドを「Scale(拡張)」する際に、他のクラウドをうまく連携しようというもの。言うなれば“エクスターナル・クラウド”だ。(3)の「People & Info-Centric」は、クライアントの管理性と操作性の両立を狙ったもの。従来の仮想クライアント「VMware VDI」の発展形として、クライアントにハイパーバイザーを搭載する「VM View」と呼ぶ仕組みを紹介した。

 同社はこれまで、ハイパーバイザー「VMware ESX/ESXi」を中心にしたサーバー仮想化ソリューション「VMware Infrastructure」を提供してきた。VDC-OSは、それを(1)Application vServices、(2)Infrastructure vServices、(3)Cloud vServicesという三つの方向で拡張する(写真3)。(1)はアプリケーションの可用性やスケーラビリティを高めるものであり、新たに「Fault Tolerance」や「Data Recovery」といった機能を加える。(2)は、「vStorage」「vNetwork」といったコンセプトの下、仮想環境向けにストレージやネットワークを最適化する。その一例として、「米シスコと米ヴイエムウェアがデータセンター向け仮想化で協業する」ことが同日付けで発表された(写真4)。

 (3)のCloud vServicesはクラウドの“共通化”を図るべく、VMwareのAPIを提供したり、認定プログラムを実施したりする。こうして、VDC-OSを基盤に構築したクラウドを他のクラウドと連携させるのが次の段階。ポール・マリッツ CEOは「アプリケーションの負荷をうまく分散させるには、アプリケーションが社内外のどのインフラでも動かせることが重要になる」とその意義を説明する。アプリケーションの連携性を確保するために掲げたのが「vCloud Initiative」である(写真5)。パートナー企業の協力を得て、VMwareの仮想マシン上でパッケージングしたアプリケーション(仮想アプライアンス)の動作検証などを行っていく。

(森山 徹=日経コンピュータ、ラスベガス)