米Microsoftが,ついに米国で家庭用ゲーム機「Xbox 360」を値下げする。この数カ月間,Xbox 360の販売状況は悪化の一途をたどっていた。価格切り下げによって,Xbox 360が今まで買いやすくなるだけでなく,ローエンド・モデルは一番人気のある任天堂の「Wii」よりも安くなる。値下げは2008年9月5日(米国時間)に実施した。

 Xbox 360は現在3モデルあり,いずれも妥当な値下げを行う。ハードディスク(HDD)を搭載しないエントリ・モデルの「Xbox 360 Arcade」は279ドルから199ドルに下がり,Wiiより50ドル安くなる。60GバイトHDDを搭載する最も売れ行きのよい標準モデルは349ドルから299ドルに,120GバイトHDDのハイエンド・モデル「Xbox 360 Elite」は479ドルから399ドルに下がる。

 2008年になってMicrosoftは,家庭用ゲーム機市場の両端からの攻勢に苦しんできた。任天堂が好調な売り上げを続ける状況は変わらず,ライバルに大きな差を付けてトップを走っている。一方,ソニーの「PLAYSTATION 3(PS3)」は一時低迷していたが,2008年の販売は常にXbox 360を上回り,次世代ゲーム機が登場するまでにXbox 360を超えるとアナリストは予測するようになった。PS3の最低価格モデルは399ドルもするが,かえってこの1年間の復活に貢献した(関連記事:ソニーのPS3,80GBモデルの北米小売り価格を399ドルに)。

 200ドルを切る価格設定は,Microsoftにとって大きな一歩である。というのも,これまでの統計データをみると,ゲーム機販売の75%以上がこの価格の製品で占められているというのだ。かつてソニーは,2008年中にPS3を値下げすることはないとしていた。しかし,Xbox 360の値下げ効果がMicrosoftの狙い通り発揮されれば,ソニーに選択肢はなくなる。ソニーはMicrosoftと同様,ゲーム機を販売すればするほど赤字が増える(任天堂はそのような状況にない)。Microsoftは2001年の初代「Xbox」でゲーム機市場に参入して以来,同事業で50億ドル以上の損失を積み上げてきた。ソニーは,PS3開発にかけたコストを取り戻せるかどうか分からないとしている。

 任天堂はWiiを2006年11月に発売し,累積販売台数3000万台で現行世代の首位にいる。これに対し,Xbox 360は2000万台,PS3は約1500万台だ。ただし,Xbox 360はWiiおよびPS3よりも丸々1年早く市場に登場しており,販売実績は憂慮すべき状態にあるといえる。