写真1●日立ソフトウェアエンジニアリングの中村雄一氏
写真1●日立ソフトウェアエンジニアリングの中村雄一氏
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写真2●NTTデータの三浦広志課長
写真2●NTTデータの三浦広志課長
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 2008年9月4日,ソフトウエア開発をテーマにしたイベント「XDev2008」の中で,日立ソフトウェアエンジニアリングの中村雄一氏(写真1)とNTTデータの三浦広志課長(写真2)が「WindowsプロフェッショナルのためのLinux/OSS攻略法」をテーマに対談した。対談で両氏は,「エディタのviやEmacsを使わなくてはいけない,必ずコミュニティに入らないといけない,などの都市伝説はすでに20世紀の過去のこと」などと話した。

 対談で中村氏は「私はviの操作方法が得意ではない」と打ち明ける。だが,「開発者にとってエディタは元より,WindowsとLinuxの区別は大きくない。今では統合開発環境(IDE)のEclipseを使って開発する機会が多い。OSはどちらを使っても問題はない」(中村氏)。同様に三浦氏も「以前はLinuxだけだったが,情報家電や携帯電話のアプリケーションもWindowsの開発環境が使えるようになっている」と話す。

 組み込み系の開発は「EclipseやNetBeansでJ2MEプラグインを導入して開発するケースも増えてきている」(三浦氏)。C言語の開発ツールであるEclipse(CDT)を使ってクロス・コンパイルの環境を整える,リモート・デバッグを行う,といった開発が浸透しつつあるようだ。

 また,両氏はコミュニティとの付き合い方について「プロジェクト・メンバーのすべての人がコミュニティに関わる必要はない。しかし,コミュニティに関わり自分のキャリアやスキルを上げることもできる」と話す。

 現在では,OSS(オープンソース・ソフトウエア)のサポート・ビジネスも多数存在する。コミュニティへの参加は必須ではないという考え方だ。両氏は,「プロジェクト・メンバーに一人でもいいから,コミュニティと技術情報をやり取りできるラインを持っていることが重要」と言う。技術情報や疑問点をその人材を通じて質問するわけだ。質問の内容が高度なバグならば,情報はやがてプログラムの開発者に行き着く。「バグが開発者に行き着く過程はMSDNでも同じ。まさにWindows/Linuxも変わらない」(両氏)と話す。

 三浦氏は,Webアプリケーション・サーバーのJBossで事例を振り返った。以前にJBossを利用するつもりだったが,性能で問題が発生した。「JBossに関わっていた当社の担当者が開発元の掲示板に質問を投げかけたところ,JBossの開発者と一緒に性能問題を解決することになった」(三浦氏)。結局当時の担当者は,JBossのエンジニアとして転職してしまったが,「OSSを通じて世界中のエンジニアとコミュニケーションが取れて,スキル・アップやキャリア・アップだって望める」(三浦氏)と話す。

 中村氏も自分のSELinuxについての体験談を語り「SELinuxが登場したばかりは,全くの無名でビジネスも見出せなかった。ところが,展示会への出展や勉強会を開催しているうちに,同じ技術に興味がある仲間に会うことができた」と開発者との新たな出会いについて魅力を語った。

 最後に両氏は,「OSSは楽しい世界。コミュニティも怖いものではない,ぜひ勉強会などに参加して“楽しさ”を実感してほしい」と締めくくった。