東京証券取引所は2008年9月2日、社内の「CIO特命プロジェクトチーム」がまとめた派生売買システムのトラブル再発防止に向けた提言を発表した。システム変更の際に、プログラミングや単体テストなど開発ベンダーが担当する工程のテストケースやテスト結果まで東証が踏み込んで検証するなど、6項目からなる。トラブルの原因がプログラムの動作用に割り当てるメモリー領域の指定ミスという開発ベンダーの作業にあったことから、開発ベンダーの担当作業の確認を強化する必要があると判断した。

 CIO特命プロジェクトチームは7月22日に派生売買システムがダウンしたのを機に設置した(関連記事)。提言の一つめはシステム変更の際の確認強化だ。開発ベンダーのテスト内容や結果までチェックするほか、切り替え後にトラブルが起こった場合にシステムを変更前の状態に戻せるように準備する。二つめはシステム変更時の体制強化である。切り替えの際に「リリース対策本部」を設置し、トラブル対応の意思決定スピードを上げる。

 提言の三つめは障害対応計画の見直しだ。システムのどの部分にトラブルが起こったらどの機能に影響が及ぶかをあらかじめ整理した「影響範囲確認シート」を作成。トラブル時に影響がない機能から優先的に復旧できるように手順を整備する。四つめはシステム開発環境・手続きの見直しである。システム変更範囲の大小にかかわらず、未変更の機能に異常がないかを確める「回帰テスト」を実施する。併せて開発・テスト用システムを増強する。

 五つめはシステム運用・監視機能の強化。トラブルの際に影響範囲を迅速に把握できる仕組みを整備する。六つめはプロジェクトマネジメントの強化。社外の人材を活用し、プロジェクトマネジメントの力や開発力を強化する。東証は今回の提言を受けてシステム障害の再発防止策を引き続き検討していく。