写真●郵便局会社のCIOを務める岩崎明 常務執行役員
写真●郵便局会社のCIOを務める岩崎明 常務執行役員
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 「利用者は2万~3万人とかなりの規模だが、まったく問題なく利用できている」。日本郵政グループ 郵便局会社のCIOを務める岩崎明 常務執行役員(写真)は、同社で利用しているSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の効果をこう語った。

 郵便局会社は昨年10月に日本郵政公社が民営化して発足した日本郵政グループの1社。貯金、保険、郵便というグループ3事業の代理店業務を担う。

 同社は発足以来、セールスフォース・ドットコムのSaaS基盤「Force.com」で開発した二つのシステムを利用している。一つは「お客様の声管理システム」。郵便局の職員が入力した顧客からの問い合わせや顧客対応の履歴などを集約・分析し、他のグループ事業会社に報告する。現在の利用者は約3万人である。もう一つの「顧客情報管理システム」は、郵便局の窓口で取得した「個人情報利用同意書」の情報を登録・管理するためのものだ。利用者は約2万人である。

 岩崎CIOは「Force.comを使ったシステム開発は、まだパイロット的な位置付け」と断った上で、これまでの導入効果や今後の展望を語った。

 導入効果については、「まだ検証の余地はあるが、スピード、品質、コストともほぼ満足している」(岩崎CIO)。お客様の声管理システムは紙で保存・管理していた情報をシステム化。集計・分析した結果を各事業会社へタイムラグなく報告できている。顧客情報管理システムについても、「現在はまだデータ入力の仕組みを整えた段階だが、顧客ごとに同意書の取得状況を検索でき、確認作業が容易になった」(同)。

 お客様の声管理システムでは、利用現場や各事業会社からの要望を受けて、頻繁に画面レイアウトの変更や項目の追加といったカスタマイズを施した。「当社のシステム部員が容易に画面をカスタマイズできる。各社からの要望を即座に反映できるスピード感は、これまでとまったく違う」(岩崎CIO)。

 今後はForce.comの適用範囲を拡大するとともに、郵便局の全社システム整備に合わせて社内システムとの連携を図る。「とりあえず問題なく利用できることは実証できた。今後は最大で10万人規模で利用するケースも出てくる。自社開発のシステムとうまく共存したり連携できるよう、システム設計やインタフェース開発を進めている」(同)。