写真1 ヘリコプターでユーザーの復旧部品を空輸した
写真1 ヘリコプターでユーザーの復旧部品を空輸した
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写真2 癌研に到着した電子カルテシステムの復旧部品
写真2 癌研に到着した電子カルテシステムの復旧部品
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写真3 横浜に設置した現地復旧本部に集まった社員
写真3 横浜に設置した現地復旧本部に集まった社員
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写真4 各機能の復旧状況を「赤」「黄」「青」で一覧できる
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 富士通と富士通エフサスは2008年9月1日、首都直下型地震を想定した防災訓練を行った。午前7時に山手線内を震源とする震度7の地震が発生し、首都機能が完全に麻痺するとの想定である。従来、東京・汐留の富士通本社と同・芝公園にある富士通エフサスの顧客サポート拠点が使える想定だったが、今回は両方が使えないという「最悪の事態」を訓練した。

 まず事前に取り決めた事業継続計画(BCP)に基づいて午前8時、大阪の富士通関西システムラボラトリに対策本部を設置。富士通グループ自体の機能復旧に乗り出す。それと連携して、富士通エフサスの関西拠点側の判断で、顧客からのコールを関西側で受けるように切り替え。実際に一定量のコールを関西側で処理したという。

 防災訓練に併せて、ユーザーである癌研究会の有明病院においてシステム復旧訓練を実施した。地震で有明病院内のUNIXサーバーが転倒し、電源モジュールが故障。電子カルテシステムが利用できなくなったとの想定である。

 癌研から連絡を受けた富士通エフサスが部品の調達できる拠点を検討。静岡県沼津の拠点から富士通グループが契約するヘリコプターで空輸するという訓練を実施した。ヘリコプターは9時50分に出発し、10時30分に新木場に到着(写真1)。バンで有明病院に輸送した(写真2)。癌研には衛星のアンテナと装置を設置し、富士通グループとのテレビ会議などの通信に利用した。

 癌研究会 医事部情報システム課の林三樹課長は「ユーザーとして緊急時のITベンダーの保守体制や通信手段の確保が実際に確認できた」と語る。癌研の有明病院の建物は免震構造で、建物内で運用する電子カルテ用のサーバーは冗長化している。さらに、カルテ情報を参照するだけの非常時用のサーバーも用意している。

 こうした顧客を支援するため、横浜ランドマークタワーにある神奈川支社に現地復旧本部を設置(写真3、4)。非常時には、横浜、大宮、千葉、立川の順番で復旧本部を設置することを取り決めているという。周辺の拠点からの応援部隊も立ち上げる。時間の経過とともに、大阪に設置した富士通グループ自体の対策本部を川崎の拠点に移設。野副州旦社長の代理として、総務人事本部長の藤田正美経営執行役が陣頭指揮を執った。

 富士通グループは毎年防災の日である9月1日に毎年訓練を実施しており、今年で14回目となる。

■変更履歴
6パラグラフ目で指揮を執ったのは野副社長との情報を掲載しておりましたが、正しくは藤田経営執行役でした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2008/09/01 21:15]