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 CPUアーキテクチャを仮想化するエミュレータソフトを開発する米トランジティブが超小型ネット端末市場に参入する。パソコン(x86プラットフォーム)向けに記述されたソフトを、ARMプロセサを搭載する超小型ネット端末で再コンパイルなしに動かすエミュレータソフトを開発する。スティーブン・ミー副社長(写真)が日経コンピュータに明らかにした。トランジティブはPOWER MAC用ソフトをインテル(x86)MACで動かすエミュレータソフトを米アップルにOEM供給した実績がある。日本ではネットワールドを通じて、Solaris/SPARC向けソフトをLinux/x86で動かすエミュレータソフト「QuickTransit for Solaris/SPARC」を販売している。

 超小型ネット端末向けのエミュレータソフトはすでに試作版が公開可能なレベルにある。「現在、複数の端末メーカーとOEM供給の交渉を進めている」(ミー副社長)。2~3年以内に実機に搭載される見通しだ。

 実現すれば、パソコン向けの豊富なソフト資産をネット端末で利用できる。ネット端末のハード仕様を考えるとパソコン並みの処理性能を実現するのは難しそうだが、「パソコン用ソフトが動くだけで意義がある」(ミー副社長)とみる。

 並行してSPARCを搭載した通信制御ボード向けソフトをx86搭載ボード向けに変換するエミュレータソフトも開発する。消費電力の削減に役立つ。こちらは通信機器メーカー向けにOEM供給する。

 QuickTransit for Solaris/SPARCのビジネスも好調で、「金融やネットビジネス事業者を中心に大規模な採用例が増えている」(ミー副社長)。米大手金融は仮想化ソフトと組み合わせて、数千台のSolaris/SPARCサーバーを数十台のLinux/x86サーバーに置き換えるという。「管理コストや保守コストなど、Solaris/SPARCサーバー1台当たり年間4万ドルを削減できる」とみる。