ロサンゼルスの法律事務所Kabateck Brown Kellnerは米国時間2008年8月28日,韓国Samsungが不当な方法でプリンタ・カートリッジの購入を消費者に強いているとして,ニュージャージ州トレントンの連邦地方裁判所に集団訴訟を起こした。

 同法律事務所によると,Samsungのプリンタはカートリッジの中にまだインクが残っている段階で,インク残量が少ないというメッセージを表示するようにプログラムされている。また,詰め替え用インクや,より安価な他社製カートリッジを使用できないように設計されているという。

 メーカーは,プリンタ本体を非常に低価格で発売したあと,インク・カートリッジの販売で利益を得るという収益構造をとっている。このためインク・カートリッジの価格は横ばいだが,プリンタ本体の価格下落が進んでおり,最近ではパソコン購入時にプリンタが無料で提供されることもある。

 同法律事務所は過去にも,セイコーエプソンの米国法人Epson Americaに対して同様の集団訴訟を起こしたことがあり,2006年4月に同社が損害賠償金など3億5000万ドル以上を支払うことで和解に持ち込んでいる(既報)。

 米国では消耗品の販売によって利益を上げるビジネス・モデルのことを「レーザー・ブレード(razor blade)」モデルと呼ぶ。カミソリ本体を格安で販売したあと,替え刃の売り上げで利益を上げることになぞらえているわけだ。同法律事務所の主席弁護人であるBrian Kabateck氏は「消費者は支払った対価に見合う量のインクを使用できておらず,Samsungのレーザー・ブレード・モデルはどう考えても行き過ぎだ」と主張している。