写真1 ECOPhlex技術を実装したキャビネット
写真1 ECOPhlex技術を実装したキャビネット
[画像のクリックで拡大表示]

 クレイ・ジャパン・インクは2008年8月29日、スーパーコンピューター向けの高効率な冷却技術「ECOPhlex」を開発したと発表した。同社の最新型のスパコン「Cray XT5」のキャビネットに実装し、年内に出荷を始める。

 ECOPhlexはスパコンから発生した熱を、キャビネット内で液体冷却。「センター内に新たにスパコン用のエアコンを設置する必要がない」(クレイの中野守社長)という。

 液体冷却の媒体は代替フロンである不活性ガス「R134a」を利用しており、「水冷方式に比べて10倍以上効率的に熱を除去できる」(中野社長)。万が一冷却パイプが破損したとしても、液体から気化してしまうため機器への影響がないとしている。

 コスト面では、クレイの試算で約100テラFLOPSの性能のスパコンを導入する場合、5年で1億円程度の削減効果が見込めるとしている。

 具体的には、100テラFLOPSのスパコンの消費電力は約500キロワット。この冷却に必要な電力はECOPhlexの場合は約100キロワット、通常空調の場合は約300キロワットだという。この200キロワットの差が5年間で約1億円となる計算だ。ECOPhlexの導入コストはこの規模で1億2000万円前後で、一般的な空調と同等だという。

 ユーザーにとっては冷却設備の電力とともにその設置スペースも課題となっており、「導入するスパコンの規模を抑えざるを得ないケースが出てきている」(中野社長)。