写真1●WindowsやIEのマーケティングを担当する中川哲ビジネスWindows本部長
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写真2●IE8(ベータ2)の起動画面
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写真3●Webスライス機能の画面例。中央にある緑色のアイコン部分を切り取っている
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写真4●Webスライスで切り取った部分は、後からブックマークを見るように確認できる
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 「インターネット標準への準拠と既存コンテンツとの互換性維持を最重要課題と認識している」。マイクロソフトの中川哲ビジネスWindows本部長(写真1)は、次期Webブラウザ「Windows Internet Explorer 8(IE8)」の開発方針をこう説明した。同社が2008年8月28日に公開したIE8ベータ2(写真2)に関する説明会での発言である。

 Web標準についてマイクロソフトは、W3Cで標準化が進んでいる「CSS2.1」に準拠する方針を打ち出している。「独自実装だったIE4や5から、IE6や7では徐々に標準への準拠度合いを高めてきた。しかし、それでも完全ではなかった。その点でIE8は標準を最重視している。他のブラウザとは別にIE向けのWebサイトを作る必要はなくなる」。原田英典ビジネスWindows本部シニアプロダクトマネージャはこう断言。Web開発者の開発負担軽減による利点をアピールした。

 一方、標準への準拠が“不完全”なIE7向けWebサイトを公開している場合は「Webコンテンツにわずかな修正を加えることで、IE8をIE7の『標準モード』で動くように制御できる」(原田シニアプロダクトマネージャ)。修正とは、WebコンテンツのHTMLファイルにIE7標準モードで動作するための専用タグを追加するなどだ。

 性能面や機能面でのIE8の特徴は「速い、便利、安心であること」(中川本部長)。例えばWebページのレンダリング(解析、描画)エンジンを改良し、Javascriptなどのスクリプト言語の処理速度を「IE6に比べて7倍、IE7に比べて5倍高速化した」(原田シニアプロダクトマネージャ)。またHTML解析ロジックを改良して、スクリプトの処理とHTMLの解析を並行して進めるようにした。

 「便利」と題した新機能の一つが「Webスライス」。Webページの一部を切り取ってブックマークに追加し、切り取った部分だけを後から閲覧する機能だ(写真3、写真4)。切り取った時点でなく、閲覧した時点の最新データを表示する。ただし利用可能にするには開発者側がWebスライス対応機能を付加したWebコンテンツを用意する必要がある。

 「安心」機能はセキュリティやプライバシー保護が中心。例えば「InPrivateブラウズ」は、クッキーやキャッシュ、Web閲覧履歴などを記録・保存しない閲覧モードだ。「やむを得ず共有パソコンでネットバンキングをするとき、恋人へのサプライズなプレゼント探しを知られたくないときなどで使える、無限の可能性を秘めた機能」と、原田シニアプロダクトマネージャは語る。ほかにもフィッシング対策やクロスサイトスクリプティングの防止に役立つ機能を追加した。

 マイクロソフトは今後、利用者からの意見を基にIE8の開発を進める。正式版の公開時期は未定。「品質確保を第一に考えているので、フィードバックをみながら検討していく」(原田シニアプロダクトマネージャ)。