写真1●米マイクロソフトのクエンティン・クラーク SQL Serverデータベースエンジン開発部門ジェネラルマネージャー
写真1●米マイクロソフトのクエンティン・クラーク SQL Serverデータベースエンジン開発部門ジェネラルマネージャー
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写真2●東芝 セミコンダクター社の伊藤篤生 技術企画グループ技術プラットフォーム構築担当グループ長
写真2●東芝 セミコンダクター社の伊藤篤生 技術企画グループ技術プラットフォーム構築担当グループ長
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 マイクロソフトは2008年8月26日、リレーショナルデータベース製品の新版「SQL Server 2008」の品質評価活動の成果をまとめたエンジニア向け技術文書を公開した。SQL Server 2008を使ったシステム設計・構築・運用のノウハウや性能の検証結果をまとめたもので、同社Webサイトから無償でダウンロードできる。成果を広く公開して、SQL Server 2008の拡販や適用範囲の拡大につなげるのが狙いだ。

 品質評価活動の名称は「Center of Quality Innovation(CQI)」。インテグレータとしてNEC、日本ヒューレット・パッカード(HP)、日本ユニシスの3社が参加し、2007年11月に活動を開始した。マイクロソフトからは日本法人の技術部隊のほか、米本社のSQL Server 2008開発チームも参加した。ユーザー企業として東芝セミコンダクターが加わった。

 CQIでは、(1)J-SOX対応やセキュリティといった「コンプライアンス」、(2)テラバイト級のデータを管理・分析する「データ・ウエアハウス」、(3)多数のSQL Serverを1台の64ビット・サーバーに集約する「サーバー統合」、(4)SQL Server 2000/同2005をバージョンアップする「アップグレード/移行」という四つのシナリオを想定。(1)をマイクロソフトと東芝セミコンダクター、(2)をNEC、(3)を日本HP、(4)を日本ユニシスがそれぞれ担当した。

 CQIの活動のポイントは「SQL Server 2008の特定機能ではなく、実際のSI(システムインテグレーション)プロジェクトを想定した品質実証活動とした」(米マイクロソフトのクエンティン・クラーク SQL Serverデータベースエンジン開発部門ジェネラルマネージャー、写真1)ことだ。これにより「SQL Server 2008の正しいSIノウハウを共有できるようにし、構築するシステムの品質を確保する」(同)。

 例えばデータ・ウエアハウスを担当したNECは、「ベンチマークに使う高速なサーバーではなく、あくまで(売れ筋の)普通のサーバー機を使った。データについても、レコード長は一般的な1Kバイト程度にした」(井上浩弓 第一コンピューターソフトウェア事業部統括マネージャー)。

 東芝セミコンダクターは、同社が進めているISO27001に基づく情報セキュリティ体制整備の一環としてCQIに参加した。ISO27001は情報セキュリティマネジメントの国際標準規格である。同社とマイクロソフトは、SQL Server 2008を使った監査機能やデータベースの変更管理手順、暗号化処理の性能検証結果などをまとめる。「SQL Server 2008と管理ツールのSystem Centerを組み合わせることでISO27001の監査プロセスを自動化し、管理作業を大きく効率化できる」(伊藤篤生 技術企画グループ技術プラットフォーム構築担当グループ長、写真2)。

 CQIの総検証時間は6万7500時間、文書は700ページ超に及ぶという。同社は今後も技術支援活動の充実を図るとしている。過去半年で同社製品全般に関する約1万ページの技術文書を日本語に翻訳したが、今後10カ月でさらに1万ページを追加する。CQI活動についても、SQL Serverに加えて他のミッションクリティカル用途向けの製品へ拡大していく。