情報サービス産業協会(JISA)と電子情報技術産業協会(JEITA)は2008年8月26日、情報システム産業として新型インフルエンザ対策への提言をとりまとめたと発表した。非常時に情報システム産業関係者が、医療関係者や重要インフラを支援しやすくするのが狙い。

 背景にあるのは、新型インフルエンザの蔓延という非常事態に対し、情報サービス産業の業務の位置付けが明確でないこと。厚生労働省など関係省庁や専門家がまとめたガイドラインには、医療従事者のほか社会システムに必須な業務の従事者を「社会機能維持者」として列挙しているが、「業務の維持に欠かせない存在となっている情報システム産業が明示されていない」(JISA)という。

 具体的には「事業者・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン」には、社会機能維持者として(1)治安維持者、(2)ライフライン関係、(3)国または地方公共団体の危機管理に携わる者、(4)国民の最低限の生活維持のための情報提供に携わる者、(5)輸送、を挙げている。

 JISAとJEITAは昨日8月25日、「情報システム産業の視点での新型インフルエンザ対策に関する提言」として、経済産業省に提出したという(関連資料)。所轄官庁に働きかけ、「社会機能維持者」として盛り込んでもらいたい考え。それによってワクチンの事前接種を受けたり、政府などから非常時の業務継続を要請されることになる。同ガイドラインは9月12日までの期限で意見募集にかけられている(関連サイト)。

 新型インフルエンザが人と人の間で感染するようになると、接触をさけるため外出が極めて困難になり経済活動の停滞が懸念されている。社会的に最重要なものに絞った業務継続計画策定が求められている。