米Amazon子会社の米Amazon Web Servicesは8月20日(米国時間),同社のプラットフォーム・サービス「Amazon EC2」の仮想マシンにブロック・アクセスが可能なディスク・ボリュームを割り当てるサービス「Amazon EBS (Elastic Block Store)」を追加した。「MySQL」のようなデータベースを運用したり,複数のボリュームによるストライピングを構成したりできる。

 Amazon EBSは,Amazon EC2上で運用するXenベースの仮想マシンに接続できる「外付けディスク」である。ユーザーは最大1Tバイトのディスク・ボリュームを作成し,任意のファイル・システムを使用してデータを書き込める。また,「MySQL」のようなデータベースを運用したり,複数のディスク・ボリュームを「RAID 0」に相当するストライピング構成にしてディスク・アクセスを高速化したりもできる。

 Amazon EBSを使うことで,ユーザーはAmazon EC2上で運用するシステムの信頼性を高めることも可能になる。なぜならAmazon EC2では,仮想マシンを運用するサーバーに障害が発生して仮想マシンのインスタンスが失われた場合,仮想マシンのディスク内容も失われてしまうという問題があった。それに対して「外付けディスク」であるAmazon EBSに書き込まれたデータは,Amazon EC2の仮想マシンに障害が発生しても,失われることはない。重要なデータをAmazon EBSに保存することで,データ喪失の危険が低くなる。

 加えてAmazon EBSのディスク・ボリュームは,Amazon EC2上で運用する複数の仮想マシンから同時にマウントが可能である。つまり,Amazon EBSを使うことで,Amazon EC2上の複数の仮想マシンによるクラスタリング構成も可能になる。一方の仮想マシンに障害があった場合に,他方の仮想マシンに処理を引き継ぐという冗長構成が可能になるため,システムの可用性も高まる。

 Amazon Web Servicesのストレージ・サービスには他にも「Amazon S3」や「Amazon SimpleDB」が存在するが,これらはいずれもWebサービスAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を経由してデータを入出力するサービスである。それに対してAmazon EBSではブロック・アクセスが可能であり,ユーザーは任意の手段(ファイル・システム経由など)によってデータの入出力ができる。

 このほかAmazon EBSには,スナップショット(その時点のディスク・ボリュームの状態)をAmazon S3に保存する機能も備えている。Amazon EC2で運用するシステムのバックアップやリストアも容易になる。

 Amazon EBSは,ストレージ容量並びにI/Oリクエストに応じて課金される。1Gバイトのストレージ容量に対して月額0.1ドルが課金されるほか,100万回のI/Oリクエストごとに01.ドルが課金される。

 米RightScale米Ylasticのような,Amazon EC2の仮想マシンを管理するサービスを提供する事業者も,Amazon EBSへの対応を表明している。ユーザーはこれらサード・パーティのサービスを使用することで,EC2とEBSを組み合わせたクラスタ運用やデータベース運用などを省力化できる。