米Microsoftと米Novellは2008年8月20日(米国時間),相互接続性の確保に向けた提携関係を拡大すると発表した。Microsoftが1億ドル相当の「SUSE Linux Enterprise Server」用サポート・サブスクリプション(サポート利用権)を追加購入することになったのだ。これに対しNovellは,WindowsとLinuxの両方を導入している顧客に提供する関連ツール/サポート/トレーニングの強化に取り組む(関連記事:Microsoft,NovellからSUSE Linuxのライセンスを1億ドル追加購入)。両社が物議を醸すこの提携を初めて発表したのは,2006年11月のことだった(関連記事:MicrosoftとNovell提携,仮想化とオフィス文書でLinuxとWindowsの相互運用性拡大,特許も相互開放)。

 Microsoft最高業務執行責任者(COO )のKevin Turner氏は「当社とNovellの協力関係は,IT環境に対する顧客の現実的な要件に応え,パートナ企業の提供できるソリューションを拡充することが目的」と述べる。「顧客によっては,WindowsサーバーとLinuxというシステムの違いを意識せず同時に使うことを望む。しかし,そうした環境を実現するには,多くの場合SUSE Linux Enterprise ServerへほかのLinuxシステムから移行する際にサポート・サービスが必要となる。Novellとの提携関係に対して追加投資を実施するのは,顧客やパートナ企業に実用的で最良のWindows/Linux向け相互接続ソリューションを提供するためだ。同時に,既存のWindowsサーバーを拡張してもらえる機会を増やし,特許問題に悩まなくて済むようにする」(Turner氏)

 Novellは,Microsoftによる特許侵害訴訟から顧客を守る免責保証という道を選んだ,数少ないLinuxベンダーの1社である。Novellが熱心にMicrosoftとの協業を進めたことは,デタント(緊張緩和)の切っ掛けとなった。Linuxディストリビュータは,Microsoftとのデタントなど夢物語と考えていた。とりわけ,頑なにMicrosoftの法的要求をはねつけてきた米Red Hatはそうだろう。NovellはMicrosoftの「(Linuxによる)特許侵害」という主張を否定するが,「両社間の提携が顧客に欠かせない」という意見で一致した(関連記事:NovellとMicrosoft,「LinuxによるMicrosoft特許の侵害はない」)。今どき大抵の企業は,WindowsとLinux/UNIXの両システムが混在する環境を使っている。

 さらにMicrosoftとNovellは,マサチューセッツ州ケンブリッジで研究施設を共同運営し,仮想化,ユーザー認証連携,混在環境におけるシステム管理といった分野で生ずる相互接続関連の問題解決に取り組んでいる。