写真●富士通が参考出展した「デジタル映像証跡技術」のデモ
写真●富士通が参考出展した「デジタル映像証跡技術」のデモ
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 富士通は2008年8月20日,企業における危機管理の総合展「エンタープライズ・リスク・マネジメント2008」において,監視カメラなどの映像データの柔軟な編集と原本性の維持を両立させる証跡技術を参考出展した。監視カメラなどの映像データの時間軸に沿った編集と,映像を改ざんする行為を区別できるのが特徴だ。

 一般に動画ファイルの電子署名は,動画ファイル全体からハッシュ値を算出し,そのハッシュ・ファイルに対して電子署名を施す。証拠として利用したい映像から不要なシーンを編集する行為は,原本に対する改ざんとみなされる。そこで富士通研究所は,動画をGOP単位(一般にMPEG-1で6フレーム)でハッシュ値を算出して電子署名する技術を開発。GOP単位で編集した切り抜き映像の原本性を保証できるようにした。参考出展ではMPEG-1映像の編集と改ざんを判別するデモを実施している(写真)。

 同技術が必要になる背景には,裁判員制度の導入で重要になる証拠映像や医療事故に備えた手術映像において,編集と改ざん防止を両立させる必要性の高まりがある。「例えばプライバシー保護のために無関係の第三者や車のナンバーを消す作業をしつつ,証拠となる映像の改ざんが無いことの証明が必要になる」(説明員)。

 今後は対応する動画形式を,MPEG-2やH.264などニーズに合わせて拡大。商品化の次期は未定だが「2009年度の実用化を目指す」(説明員)という。