米Intelは,スリープ状態にあるパソコンをほかのパソコンのWebブラウザやモバイル・デバイスから遠隔起動する新技術「Remote Wake」の開発を進めている。家庭ユーザーと企業ユーザーの両者を対象とする技術で,遠隔地からパソコン内のファイルにアクセスできるほか,これまでなら着信すら記録されなかった状態のパソコンにインターネット電話をかけられるようになる。

 Remote Wakeを使うには,2008年9月に販売の始まる各種パソコン用マザーボードに搭載されるIntel製チップが必要だ。マザーボードのベンダーにとって,同技術は2009年以降,大抵のパソコンで標準部品の一つとなるだろう。実際に機能させようとすると,パソコンの電源を完全には落とさない「スリープ」モードが欠かせない。スリープ・モードによって,パソコンの省電力機能をいかしつつ,外出先からパソコンにアクセスすることもできる。スリープ状態に入ると,パソコンの消費電力はフル稼働時の約6分の1に減る。

 パソコンのファイルに遠隔アクセスできる機能はもちろん便利だが,IntelはRemote Wakeで実現するインターネット電話着信機能の方を重要視している。現在インターネット電話普及の足かせとなっている問題の一つは,パソコンの休止中や電源オフ時にあった着信を知る術がないことである。Remote Wakeに対応すれば,パソコンは遠隔起動が可能となる。ユーザーの操作が無理な状況であっても,インターネット電話ソフトウエアは電話を逃したことくらいなら把握できる。

 さらに,Intelは複数の企業と提携し,パソコン向けテレビ・コンテンツ夜間配信サービスの実現を目指す。