マイクロソフトは2008年8月12日,開発ツールのVisual Studio 2008と.NET Framework 3.5のそれぞれについて「Service Pack 1(SP1)」のダウンロード提供を開始した。これにより,同月投入したばかりの最新データベース・サーバーSQL Server 2008への対応度を上げるとともに,開発アプリケーションの応答速度と安定性の向上を図る。

 今回公開されたVisual Studio 2008 SP1の主な強化点は,WPF(Windows Presentation Foundation)アプリケーション開発用のデザイナ改善,Ajaxアプリケーション開発用のツール強化,データベース操作を簡易化するADO.NET Entity Framework用のデザイナ改善,JavaScript開発環境の強化など。なかでもSQL Server 2008の活用に重点を置いており,常時接続が困難なアプリケーションや空間情報を扱うアプリケーションの開発をサポートするとともに,ビジネス・インテリジェンス(BI)機能をアプリケーションに組み込むための追加コントロールを用意している。

 一方,.NET Framework 3.5 SP1では,Windowsアプリケーションの展開を簡素化する手段として「.NET Framework Client Profile」を新たに用意した。これは,クライアント・アプリケーションに必要な機能だけを備えることによって,.NET Frameworkのサイズを86.5%(すなわち197Mバイトから26.5Mバイトへ)縮小するもの。これにより,エンドユーザーは従来より手軽にWindowsアプリケーションをダウンロードしてインストールできるようになるという。

 このほか,共通言語ランタイム(CLR)の機能を強化した。具体的には,CLR上で実行される中間コード(マネージド・コード)の生成機能を改善し,アプリケーション起動時間を20~45%短縮,またエンドツーエンドのアプリケーション実行時間を最大10%短縮したという。Windows Vistaが備えるセキュリティ機能のASLR(Address Space Layout Randomization)モードでマネージド・コードを実行するためのオプションなども用意した。