図1 トライアルのイメージ
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図2 120GHz帯ミリ波無線機
図2 120GHz帯ミリ波無線機
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 NTT(持ち株会社)とフジテレビジョンは2008年8月8日,同日から開催される北京オリンピックの中継において,120GHz帯ミリ波無線伝送技術を利用してHDTV(ハイビジョン)映像の信号を圧縮せずに無線伝送するトライアルを北京オリンピック開催に合わせて実施すると発表した。

 特設中継ポイントと北京オリンピック放送拠点となる国際放送センター(IBC)に120GHz帯ミリ波無線機を設置し,特設中継ポイントから中継されるHDTV信号を圧縮せずに約1km離れたIBCまで無線伝送する(図1)。この映像は,早朝から深夜にかけて放送されるフジテレビのニュース番組で利用する予定(発表資料)。

 NTTとフジテレビは今回のトライアルの目的として,「NTTが研究開発を進めている120GHz帯ミリ波無線技術とフジテレビのHDTV番組制作技術を持ち寄って,フジテレビの放送番組制作現場のスタッフが自ら無線機(図2)などを運用することにより,無線伝送の有効性と課題を確認すること」を挙げている。

 NTTとフジテレビは,「現在,放送局の中継番組の制作現場では無遅延でのHDTV信号の伝送が可能な無線システムに対する強い要望がある。しかし現在,放送局で広く使用されているマイクロ波帯の映像素材伝送用無線機(FPU:FieldPick-up Unit)の伝送速度は0.03~0.06Gb/sであり,そのままでは1.5Gb/sのHDTV信号を伝送することができず,圧縮・伸長に伴う0.5秒程度の遅延を避けることができない。NTTが研究開発した120GHz帯ミリ波無線伝送技術の最大伝送速度は11.1Gb/sであるため,HDTV信号を非圧縮のまま遅延すること無く,最大6チャンネルまで多重して伝送できる」としている。