テプコシステムズは2008年9月1日から、既存パソコン(PC)向けの情報漏洩対策ソフト「セキュアBizクライアント」を販売・出荷する。同ソフトをインストールしたPCの電源を切ると、作業中に保存したデータやキャッシュ、レジストリの内容までがすべて消去される。ローカルディスクの状態を電源投入時の状況に戻すというわけだ。社外に持ち出したノートPCの紛失・盗難対策や、在宅勤務者のリモート開発環境などでの利用を見込んでいる。

 セキュアBizクライアントが備える機能は大きく三つある。(1)電源オフ時のデータ消去、(2)外部記憶媒体の利用制御、(3)メール添付ファイルの送信制御――だ。メインの(1)は、東京電力 技術開発研究所が開発したHDD仮想化機能をベースにした。ユーザーの作業はすべて仮想領域上で行い、電源オフ時に仮想領域のデータを消去する。ただし、スタンバイ状態や休止状態にしただけではデータを消去しない。データを持ち歩ける半面、作業が終わったときには電源を切るという運用が必要である。

 (2)は、USBメモリーやSDカードといった外部媒体を利用できなくする機能。外部媒体を介した情報漏洩を防ぐ。(3)の機能により、ユーザーが添付ファイル付きのメールを送信した際、あらかじめ指定してあるドメイン以外があて先になっていると添付ファイルが削除される。メールによる情報漏洩を防ぐのが目的だ。

 想定する利用シーンは、まずは営業職などがノートPCを社外に持ち出すケース。帰りの電車のなかで置き忘れたり、盗難に遭ったりしてもPC内にはデータが入っていないため情報が漏れることを防げる。

 ソフトウエアのリモート開発環境にも有効と見ている。例えば、在宅勤務者や開発委託先の担当者にセキュアBizクライアントの利用を義務付ける。ユーザーがリモートアクセスでソースコードやテストデータをダウンロードしても、作業終了時に電源を切れば、すべてのデータが消去される。仮想領域は4Gバイトあるため、大容量ファイルでもダウンロード可能だ。

 対象OSはWindows XP SP2。価格は1ライセンス2万9800円で、10ライセンス単位で販売する。テプコシステムズが直接販売するほか、販売代理店経由の間接販売も行う。富士ソフトや野村総合研究所などとの協業も予定する。