このところ何かと話題になる米Microsoftの「Midori」だが,同社は現行「Windows」系OSの将来版として設計していない。信頼できる情報が不足しているにもかかわらず,最近Midoriは急に騒がれるようになった。そこで,同社はMidoriに関する声明を出すことにした。「Midoriは現在取り組んでいる多くの研究プロジェクトの1つで,最終的に製品化する予定はない」という。

 Microsoftの広報担当者は「Midoriは初期段階にある研究活動で,これ以上のコメントを出せる状態に達していない」と述べた。「当社は,技術の革新的な使い方を常に検討/探求している。Midoriは当社が進めている数多くの初期的活動の1つに過ぎない。活動の指揮は,技術戦略担当副社長のEric Rudder氏が執っている」(Microsoft広報担当者)

 Midoriは,研究段階にある新OS「Singularity」などの関連プロジェクトと同じく「管理コード・プロジェクト」と呼ばれ,.NETベースのプログラミング言語で記述されている(関連記事:Microsoft Researchが新OS「Singularity」の開発者向けキットをリリース,非商用に限り無償で)。単体でパソコン用OSとして作動するし,サーバーOS「Windows Server 2008」の「Hyper-V」仮想化環境で仮想化できるらしい。一部モジュールを「Windowsプロセスでホスティング」することも可能で,従来型Windows用アプリケーションと一緒にWindows上で動かせる。

 各種報道と違い,Midoriは「Windows Vista」や次期Windows「Windows 7」(開発コード名)の後継OSではない。つまり,「Windows 8」「Windows 9」に相当すると思っては駄目だ。それどころか,明快な分類は難しい。Midoriの構成要素が最終的に将来版Windowsやその他Microsoft製品に結実すると考えるのがよいだろう。

 Midoriに関する推測が大量に出たのは,米国のソフトウエア関連誌SD Timesの記事が発端だ。その記事には,Microsoftが全く新しいOSを「ゼロから」設計しているという内容の,頻繁に流れるうわさが載っていた。それによると,かつての「Windows NT」(New Technology:新技術)と似た次世代OSプロジェクトであり,1990年代初期のWindowsと一線を画して作られた現行Windowsすべての基盤となっているコンピューティング・アーキテクチャ,だそうだ。