日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は2008年8月6日、PCのサポートサービス体系「HP Total Care」のメニューを拡充すると発表した。

 今回の拡充内容の目玉は、「HP Care Pack PCトレーシング」。盗難や紛失に遭ったPCからの情報漏洩リスクを低減するためのものだ。

 このサービスを利用するには、あらかじめユーザーのPCに専用ソフトをインストールしておく。PCを社外に持ち出して自宅や公衆無線LANスポットからアクセスすると、使用するIPアドレスが変わる。専用ソフトはPCが使用するIPアドレスが変わると、システム管理者やPCの持ち主に通知メールを自動送信する。通知メールには、その時点のIPアドレスやネームサーバーのホスト名が記録される。これにより、不正な第三者が社外などでPCを操作している状況が推測できるという。

 PCトレーシングの上位メニュー「ゴールド」では、そのPCに遠隔でデータの削除命令を送信できる(命令の送受信方法は未公開)。PCはこの命令を受け取ると、ハードディスク内のデータを削除する。削除方法には米国防総省が推奨する方法を採用しており、「一般に普及しているデータ復元ソフトではまず復旧できない」(日本HPの中 宏樹 パーソナルシステムズ事業統括デスクトップビジネス本部サービスビジネス スペシャリスト)。

 PCのデータを遠隔消去するサービスはKDDIなども提供しているが、ハードメーカーが提供するのはHPが初めてとしている。

 ほかにも「HP Eメールフィルタ」を追加する。HPのサーバー側で迷惑メールの分別や、Webサイトへのアクセス管理など各種のフィルタリングを実施する。米シマンテックのソフト製品をベースにする。フィルタリングの設定は、別途管理者向けに用意するWeb画面から実行できる。ユーザー企業側のPCやサーバーにソフトなどを導入する必要はない。PCトレーシングサービスとは異なり、他社製のPCにも提供するという。

 料金はPCトレーシングの通常メニューであるシルバーが1アカウント当たり年間2100円、ゴールドが5775円。Eメールフィルタが1アカウント当たり年間3150円(いずれも税込み)。販売開始時期は、PCトレーシングが8月7日、Eメールフィルタが9月中の予定。

 併せて、PCを事業所単位で総合的にサポートするサービスメニュー「HP Care Pack プライオリティアカウントサービス」を開始する。8月7日から販売開始する。顧客専用のコール窓口を用意し、PCの優先的な修理対応を受け付ける。また、PCの台数や構成、障害履歴などのプロファイル管理を提供する。

 メニューは通常のシルバーと、専任の障害対策担当者をアサインし素早い対応を可能にするゴールドの2種類。対象となるPCが1000台の場合の価格例としては、シルバーが1サイト(支店や事業所単位)で年間157万5000円。ゴールドが1サイト年間262万5000円(いずれも税込み)。