写真●ストリートビューの表示例。写真をドラッグすれば周囲360度すべて閲覧できる
写真●ストリートビューの表示例。写真をドラッグすれば周囲360度すべて閲覧できる
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 グーグルは2008年8月5日、地図サービス「Googleマップ」上で新しいサービス「ストリートビュー」を開始した。地図上の道路をクリックすると、そこを中心とした周囲の写真を見ることができる。Googleマップではすでに衛星写真を公開しているが、ストリートビューでは人の目線の高さから見た写真を公開する(写真)。すでに2007年5月から米国を対象としたサービスを提供しており、今回、日本を加えた。

 当初カバーするのは、東京や大阪などの12都市圏にある100以上の市区町村。今後、徐々にサービス提供範囲を広げる予定だ。写真の撮影にはカメラを搭載した自動車を利用しており、「一つの都市の撮影に3~4カ月かかる」という。

 Googleマップなど地理関連サービスを担当する河合敬一プロダクト・マネージャーは「自社や店舗への案内図に使えば、周囲の風景も含めて案内できる。ニュースサイトで『この辺で事件があった』という用途や、テレビや映画のロケハンにも使えるだろう。市町村の都市計画で他都市の街並みを見る用途にも使えるし、学校教育でも様々な使い方がある」という。

 グーグル以外のWeb事業者が活用できるAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)も用意する。米国では不動産情報サイト「trulia」がストリートビューのAPIを利用。物件の購入希望者が、その周囲の写真を見られるようにしている。店舗への案内図など単純な用途の場合、Webページへの埋め込み用URLを使って画面に埋め込んで使うことも可能だ。

 ストリートビューでは町を歩く人や自動車、住宅がはっきりと識別できる。そこでプライバシ保護のため、グーグルは自動認識技術で人の顔のぼかしを入れている。このほか、ストリートビューのヘルプメニューから、人の顔や車のナンバープレート、住宅についてプライバシ上のクレームを受け付ける。当事者との協議のうえ、ぼかしの追加や写真の取り下げを行う。

 グーグルは写真撮影について、事前の相談は行わない方針だという。河合プロダクト・マネージャーは「今回も行政や被写体などにあまり相談はしていない。公道からの写真撮影は法律上の問題はないと認識している。プライバシの問題についてユーザーからの連絡があれば対応する」と同社のスタンスを説明する。

 ビジネス面については、当面は広告を掲載する予定はないとした。「しばらくは利益を上げないサービスになる。ある程度広がってくれば、他社との連携なども含めたビジネス化を検討する」(河合プロダクト・マネージャー)という。