写真●ソフトバンクの孫正義社長。決算説明会ではiPhoneのアプリケーション魅力を自ら説明する場面もあった。
写真●ソフトバンクの孫正義社長。決算説明会ではiPhoneのアプリケーション魅力を自ら説明する場面もあった。
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 ソフトバンクは2008年8月5日,2009年3月期第1四半期の決算を発表した。売上高は前年同期比2.4%減の6472億5500万円,営業利益は同8.1%増の850億8600万円の減収増益だった。

 減収の主な原因は,携帯電話端末の販売やARPUが減収したため。端末販売の減少は,特に機種変更が前年同期の109万台から今期の72万台へ34%減少した影響が大きく,端末の売り上げ全体で前年同期から約139億円減ったという。「他社に先駆けて割賦販売を取り入れ,2年以上継続して利用するユーザーが増えたため。ただ解約率は0.98%まで下がっており,ユーザーは減っていない。経営的には望ましい方向」(ソフトバンクの孫正義社長)とした。

 増益の要因は携帯電話端末の販売減少によって営業費用が減ったことによる。NTTドコモやKDDIも同様の利益構造に移っており,携帯電話市場が転換期を迎えていることが鮮明になった。「携帯電話事業者にとっては経営効率が改善することになるが,端末メーカーにとっては,端末の出荷台数が構造的に減っていくため構造転換を迫られるだろう」(孫社長)。

2段階定額で「ネットワークの効率運用が可能になる」

 質疑応答では,7月11日から発売を開始した「iPhone 3G」に関する質問が集中した。これまでの販売台数については,台数は公開しなかったものの売れ行きは「想定した以上の反響。満足のいくスタートダッシュができた」(孫社長)とした。

 iPhone投入によるデータ通信の急激な増加に対するインフラ面の不安を指摘する質問も相次いだ。この点について孫社長は「1ユーザー当たりの想定トラフィックが想定した範囲に収まり,既存のネットワークで対応できるというメドが付いた」と語る。同日,iPhoneのデータ通信プランに2段階定額制を導入することを発表したが(関連記事),「数を取りすぎるとネットワークが持たないと思っていたが対応できる感触を得たので,ライト・ユーザーを取り込むためにより手軽に加入できるプランを用意した」と孫社長は語る。

 2段階定額制の導入によって,ネットワークのより効率的な運営を可能にする目的もあるという。「想定以上に無線LANを使ってiPhoneでネット接続しているユーザーが多い。2段階定額制の導入によってユーザーはコスト意識がより明確になり,無線LANも上手く活用するような使い方をするだろう。我々にとっては,その分ネットワークのトラフィックを外に逃がせる。ユーザーと我々がWin-Winの関係を築ける」(孫社長)とする。

 なお同社が実証実験をしている超小型基地局のフェムトセルの現状についても明らかになった。「10月1日からトライアルを1000台規模に拡大し,商用化は年末から年明けになる見込み」(ソフトバンクモバイルの宮川潤一取締役専務執行役CTO)という。

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