写真1●「JNB電子マネー」のしくみ
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写真2●ヤフー オークション事業部 八代峰樹 部長
写真2●ヤフー オークション事業部 八代峰樹 部長
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 ヤフーは2008年8月4日,同社のインターネット・オークション・サービス「Yahoo! オークション」向けに,新しい決済サービス「JNB電子マネー」を提供すると発表した。8月5日よりサービスを開始する。JNB電子マネーは,ジャパンネット銀行(JNB)が提供する「オークションの出品者と落札者を仲介するプリペイド式電子マネー」だ。導入の狙いは,Yahoo! オークションで発生する詐欺の防止である。

 オークション詐欺では,「代金を納めたのに商品が届かない」といったケースが多い。そのため,ヤフーでは以前から「受け取り後決済サービス」,「代金支払い管理サービス」といったサービスを提供していた。金融機関や宅配業者が取り引きを仲介し,商品の到着後に最終的な決済を行うことで詐欺を防止する。しかし,このいずれのサービスとも,ジャパンネット銀行に口座を持っていないと利用できない。そのため,「ユーザーから,ジャパンネット銀行以外の自分の口座を使って,こうしたサービスが利用できないか,という声が上がっていた」(ヤフー 事業推進本部 決済関連事業室 企画 田鎖智人 リーダー)。

 JNB電子マネーを利用すると,ジャパンネット銀行に口座を持っていなくても「受け取り後決済サービス」や「代金支払い管理サービス」が使える。JNB電子マネーの利用には「Yahoo! ウォレット」への登録のほか,Webサイト 上から改めて氏名や電話番号といった情報を入力する必要がある。

 JNB電子マネーのアカウントは「Yahoo! JAPAN ID」にひも付けられている。ユーザーはあらかじめ,自分のJNB電子マネー・アカウントに利用したいだけの金額を振り込んでおく。このJNB電子マネー・アカウントからは,他のJNB電子マネー・アカウントだけでなく,全国の金融機関やゆうちょ銀行などの口座ともやりとりが可能になる(写真1)。なお,JNB電子マネー・アカウントに対する振り込みには,一時的な仮想口座である「ワンタイム口座」を利用することになる。落札が成立したオークション一つ一つに対応して,ヤフー側でワンタイム口座の番号を発行する。この口座番号はメールやユーザー・ページを通じて利用者に通知される。

 なお,JNB電子マネー・アカウント同士の取り引きの場合は,振込手数料は無料。一方,JNB電子マネー・アカウントからジャパンネット銀行への振り込み時は52円,その他の銀行への振り込み時は168~262円,ゆうちょ銀行への振り込み時は294円の手数料がかかる。ただし,「ユーザーには月1回,無料で振り込みができるフリーチケットを発行する」(田鎖氏)予定だ。

 ヤフーでは,2007年頃からオークション詐欺向けに様々な対策を打ってきた。その結果,2008年6月時点で,同社がオークション被害者に支払う補償金の額は前年同期比80%減となった。同社では,JNB電子マネーの導入でこうした対策をいっそう強化したい考え。ちなみに被害が多発した時期には,四半期で1億円以上の補償金を支払っていたというが,「現在ではオークション詐欺の被害にあう確率は0.003%程度と見ている」(ヤフー オークション事業部 八代峰樹 部長,写真2)。