ジャスダック証券取引所は2008年7月31日、移動通信事業者であるYOZANの株式を8月1日から整理ポストに割り当て、9月1日付けで上場廃止にすると発表した。7月31日までに2008年度3月期の有価証券報告書を提出できず、上場廃止基準に抵触したためだ。有価証券報告書の提出遅延が原因でジャスダック上場廃止となった例は初めて。

 YOZANが有価証券報告書を提出できなかったのは、会計監査の手続きが事実上不可能な状態に陥っていたためだ。08年度3月期は監査法人ブレインワークを監査人にしていたが、事業計画が確定しないことなどから監査が難航。金融商品取引法で定められた期限の6月30日までに有価証券報告書を提出できなかった。その結果、YOZAN株式は7月1日から監理ポストに割り当てられていた。

 その後、YOZANは7月25日にブレインワークが監査人から退任したと発表した。事業の継続性についてYOZANと監査人で意見の食い違いがあったのが原因とした。上場廃止になるタイムリミットは7月31日。監査人が退任した段階で、有価証券報告書の提出は極めて困難な状態になっていた。

 一時はPHSサービスや無線ブロードバンド(WiMAX)サービスを提供していたYOZAN。PHSは2006年に終了し、事業の柱にするとしていた無線ブロードバンドも2008年6月に終了した。現在提供するサービスはページャ(ポケットベル)のみとなっている。7月2日には上場時価総額が5億円未満となり、9カ月以内に時価総額が5億円以上にならないと上場廃止するとも警告を受けていた。