写真●図 ADSL業務統合と資本提携の構図
写真●図 ADSL業務統合と資本提携の構図
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 ADSLサービスを提供するイー・アクセスは2008年7月31日,同業のアッカ・ネットワークスを子会社化すると発表した。イー・アクセスはアッカの第三者割当増資を74億1480万円で引き受け,45.3%の株式を保有する。既にイー・アクセスは2006年8月にアッカの株式を大量取得しており,2008年6月30日時点でも13.5%の株式を保有する筆頭株主だった。

 子会社化の最大の目的は,ADSLサービスの効率化。両社のブランドはそれぞれ維持するものの,イー・アクセスのADSL設備はアッカへ譲渡し,業務を統合する(写真)。具体的にはイー・アクセスが保有するDSLAM(DSLアクセス集線装置)やNTT局舎に置かれているBAS(ブロードバンド・アクセス・サーバー)を32億8600万円でアッカに譲渡する。モデムのレンタルや物流,顧客サポートといった業務もアッカに委託する。

 今回の背景には,FTTHの台頭によってADSLサービスはユーザー数の減少が続いていることがある。その中でADSL事業者は経営効率化を迫られていた。ADSL市場における両社のシェアの合計は22%で,統合後はYahoo!BBに次ぐ2位の事業者となる。イー・アクセスの深田浩仁社長は「減少しているとはいえADSLは1300万ユーザーの巨大な市場。将来も1000万くらいのユーザーは残ると考えている。その中でスケールメリットを出したい」とコメントした。

 また,イー・アクセスの千本倖生会長は「アッカの技術者は水準が高い。彼らに(子会社であるイー・モバイルの)モバイル・ブロードバンドをやってもらいたい」とし,技術者確保も子会社化の目的の一つであると説明した。