経済産業省は2008年7月28日、所管する財団法人のソフトウェア情報センターがADR機関として法務大臣からの認証を受けたと発表した。ADRとは裁判以外の手段で当事者間の紛争を解決すること。ソフトウェア情報センターは、情報システムやデジタルコンテンツ分野で、取引や知的財産に関する紛争が生じた場合の仲裁などを行う。

 ADR機関での紛争解決プロセスと似ており、裁判に相当する「仲裁」と調停に相当する「和解あっせん」がある。仲裁は強制力があり、和解あっせんには強制力がない。裁判所との違いは(1)秘密性が高い、(2)解決までの時間が短いといった点がある。

 ADR機関での紛争解決では「仲裁人」(仲裁の場合)または「あっせん人」(和解あっせんの場合)と呼ばれる弁護士や弁理士、技術者が仲立ちする。紛争当事者は契約書や仕様書などの証拠を仲裁人(あっせん人)に提示し、仲裁人(あっせん人)は仲裁案または和解案を示す。この際、紛争当事者はその内容を外部に公開する必要はなく、仲裁人(あっせん人)には法的な守秘義務が課せられる。そのため、裁判と違って紛争の存在や内容が外部に漏れない。

 紛争解決までの時間は半年から1年程度。その間に5回前後の期日が設けられる見込みだ。解決までに4~5年かかる裁判に比べると大幅に短い時間で済む。

 紛争解決にかかる費用は、申し立て時に申立人に申立手数料5万2500円がかかる。このほか、期日ごとに両方の当事者に2万1000円の期日料金がかかる。さらに仲裁や和解あっせんが成立した場合は、紛争解決金の請求額に応じた成約手数料が必要になる。