情報通信法の制度設計の在り方に関する検討を進めている情報通信審議会の「通信・放送の総合的な法体系に関する検討委員会」(座長:長谷部恭男・東京大学法学部教授)は2008年7月25日,これまでの審議結果をまとめた中間報告である「中間論点整理」に対する意見募集の結果を発表した(発表資料)。合計で80件の意見が放送事業者や通信事業者などから寄せられた。

 例えば民放事業者の業界団体である日本民間放送連盟は,今回提出した意見において,「我々は地上波放送のレイヤー型法体系への転換については,メディアサービス(放送)の類型化や審査などを通じて行政の番組内容に対する直接的な関与を認めることになるため反対すると主張しており,その考えに変わりはない」とした。そのうえで,「中間論点整理が示した再編の方向性は「産業振興」の観点に偏っている。しかも,通信・放送の法体系をレイヤー型に転換する意義や効用についての合理的な説明を欠いたままだ」と反発を示した。

 一方,スカイパーフェクト・コミュニケーションズは,レイヤー型法体系への転換に賛同する意見を寄せた。「スカパーJSATホールディングスグループが事業を行っている多チャンネル放送サービス分野は,通信・放送または有線・無線それぞれの複数の法律にまたがっており,ほかのメディアの競合企業と競争条件が同一ではない」という現状認識を示した。仮にスカパーJSATホールディングスグループのグループ会社が関係する法律の規定を再編成されて,できるだけ整合化・合理化するとともに,レイヤー間の関係が明確化された法体系に転換することで競争条件が整えば,「健全な競争が行われることにより視聴者の選択肢が増え,有料放送産業がさらに発展することが期待できる」とした。

 検討委員会は,意見募集の結果を踏まえて今後の会合で調査および検討を進める。2009年12月をメドに通信・放送の総合的な法体系の在り方についての答申を行う予定だ。